短編2
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白いギター

海斗は若いのにヴィンテージ古着や日本のブリキ玩具や和風民芸品など様々な古物が好きな変わった趣味を持ったやつだった。

部屋に遊びに行くと懐かしい雰囲気を醸し出した空間が広がっている。

ただコレクションの中には゛訳あり゛の物がある。

『ねぇ、なんか怖ーいとか面白いとかエピソードある物はないの?』

海斗は一本のギターを持ってきて語り始めた。

このギターはね…

フォークソングが大ブームだった頃、若い男はミュージシャンを目指していた。

ボイスレッスンに通いながら、空いた時間はバイトをするか路上ライブをする。

オーディションがあれば出来るかぎり受けるようにしていたが、連敗連続で『俺には才能がないのか…』と気持ちが沈むことも多かった。

そんな冴えない日々を送る彼には優しい彼女がいた。

貧乏の売れないミュージシャンの男の生活費を援助してくれた。

彼女は彼の夢を応援したかった。

男は彼女に感謝をしつつ、必ず音楽で成功させてやると奮起した。

ある日…バイトの飲み会がった。解散した後に席が隣だった女の子とホテルへ…出来心から勢いで一夜の関係に落ちてしまった。

男は罪悪感を感じたがバレなければいいと思い、浮気を繰り返した。

ボイスレッスンも路上ライブもやめて、バイト以外の時間は浮気をするようになった。

男は次第にバイトもやめた。そして彼女にお金をせびるようになった。

彼女は彼に金を渡し続け、生活費も出し続けた。いつか成功してくれる、きっと夢を目指す為にはお金がかかるんだと。

しかし男が要求する金は日に日に高額になっていった。

反比例するように女に洒落気はなくなり、髪の毛も自分で切るようになり、パンやカップラーメンを食べるなど貧しくなった。

彼女は昼は会社でOLをしていたが、彼を支える為に夜はお水の仕事をはじめた。昼も夜も働いている為、彼に逢う機会も少なくなり、彼の机の上にお金だけを置いてくようになった。

そんな生活が続いて疲れがたまったのか?彼女はアパートの階段を上がる途中で荷物が重かった為か?フラつき、バランスを崩して落ちた。

彼女が倒れたと知らせを受けた男だったは病院に向かった。

しかし彼女は頭を強打して死んでしまった。

静かに横たわる姿はやせ細り、自分が知っていた元気だった姿とはまるで違った。

医師から『あなたへのプレゼントだったみたいです』と大きなギターを渡された。

男は涙を流して後悔した…。今日は男の誕生日だった。

そして男は彼女がくれたギターを抱えてビルの上から飛び降りた。

しかしギターだけなぜかはかろうじて無事だった。

北斗『このギター少し赤いでしょ?本当は白かったんだよ…』

さみしそうな北斗はポロロンとギターを奏でてくれた。

怖い話投稿:ホラーテラー 太陽さん  

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