短編2
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消せ

これは俺が中学二年生の時に体験した話です。

当時の俺は学校の部活でバレーボール部に所属していました。ある冬の日の日曜、他校で練習試合をした帰りの夜の駅。同じ部活の一人が

「この映画知ってる!?」

と言って携帯から音楽を流しました。聞こえてきたのは日本のホラー映画。「着信アリ」の中で流れる携帯のメロディーでした。

「知ってる!柴咲コウが出てる奴だろ!?」

「そうそう!あれ怖いよな~」

それから映画の話で盛り上がり、俺も家に帰ったらダウンロードしようと思いました。

家に着いたのはもう21時頃でした。夕飯を済まし、風呂に入り部活で疲れていたのですぐに自分の部屋に行き電気を消してベッドに入りました。

暗闇の中で携帯を開き音楽サイトで着信アリのメロディーをダウンロードしました。数十秒経ってダウンロードが完了しました。携帯にイヤホンを接続してイヤホンで聴こうと思いました。

聴けば分かりますが、あの曲は再生してから数秒の間だけ無音です。その無音の間にリビングにいる母から俺を呼ぶ声がしました。

「今行くー!」

一時停止を押して携帯をベッドに置き部屋を出ました。この時曲は再生してから二秒で止まっていました。

リビングで母としばらく会話をして部屋に戻りました。部屋の電気は消えたままです。ベッドに潜り込んでイヤホンを両耳に入れた瞬間、お経のような声が聞こえ男?の声で

「消せ」

と聞こえてきたのです。しかもその声はよくテレビで、話す人の声をプライバシー保護のために変えてる時のような男か女か分からないような声だったんです。

一瞬で背筋が凍り慌ててイヤホンを両耳から外し投げつけました。しかし両耳からイヤホンを外したのに耳の中でお経のような声がずっと流れているんです。

俺は恐怖から叫びながら部屋を飛び出し母のいるリビングにダッシュで向かいました。その間もお経のような声はずっと耳の中で流れていました。

しかし母の姿を見た瞬間耳の中の声は無くなりました。俺は冬なのに全身にすごい汗をかいていました。

母は叫びながら大量に汗をかいてる俺に驚いた顔でなにがあったか聞きました。話すのも恐ろしく適当なことを言ってその夜は父の部屋で一緒に寝ました。

まぁ当然眠れるはずがなく次の日、学校で友達に昨日あったことを話し、二人でその曲を携帯から消しました。

もし「消せ」の言葉を無視して消さなかったら…考えるだけで恐ろしいです

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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