中編3
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霊感のある友人

俺には自称霊感のある友人が居る。

正直俺は半信半疑だったんだが、そいつと心霊スポットなんかに行くと、何度か洒落にならん事が起こっているので、その話をちょっと投稿しようと思う。

ある日オカルトが好きだった俺はそいつを誘って心霊スポットに行くことにした。

俺は霊感は全くなく、幽霊なんて見た事無かったが、霊感の強い奴と一緒だと周りの奴も見えるという話を聞いて、友人の霊感に少し期待していた。

その心霊スポットは特に有名な場所ではなく、友人達の間で出ると噂の所だったが、行ってみると割と山の方で明かりもなく、なかなか不気味な所だった。

友人は周りをうろうろしながら

「あそこに人が居る」

なんて言っていたが、俺には見えないし、そいつがあまりにもお気楽過ぎるので全く信用して無かったが、「一人こっちに向かって来てる」

って言われた時は流石にびびった。

結局幽霊が見える訳でも、何か心霊現象が起こる訳でもなく車に戻ったんだが、事件はそこで起こった。

車のエンジンをかけようとキーを回したが、どういう訳かエンジンがかからない。

五回ほど繰り返し、パニックになりかけた所でようやくエンジンがかかった。

不安になった俺は友人に、「さっきの何だったんだろう?」

と聞いたが、

「さぁ?」

という素っ気ない返事が帰ってくるだけだった。

自称霊感ありのくせに役に立たねぇな、と少し腹を立てながら車を走らせたが、すぐに俺は異変に気付いた。

寒い。ここに来た時より明らかに寒いのだ。

というかそもそも寒いという事自体おかしい。

今は春も終わり、もうすぐ夏が来るという時季だし、来るまではクーラーをかけないと暑苦しさを感じたというのに、今は暖房がなければ少し肌寒い。

明らかな異変に不安になった俺は、

「なぁ、何か寒くね?お前何か感じる?」

と尋ねたが、

「あぁ。寒いけど俺にもよく分からない。」

という頼りない返事が帰ってくるだけだったが、しばらくして友人が

「お前そんなに気になるんだったら言ってもいいか?」

と、訳ありな口調で話しかけてきた。

その時俺の精神はかなり不安定だったが、好奇心から「あぁ」と答えてしまった。

「お前は気付いてないかも知れないが、この車、俺達以外に結構な人数乗ってるぜ。」

その言葉を聞いて、そいつの霊感を信じてなかった俺もパニックになった。

「冗談じゃねーよ!どうすんだよ、助けてくれよ!」

「悪いけど俺、霊は見えても対処法は知らないんだよな」

「あまり悪い霊じゃないみたいだから気にしなくてもいいだろう」

「ふざけんなよ、何でそんな事分かるんだよ!」

あまりの無責任さに半ギレになりながらも、友人が「心配しなくていい」と言い張るので、俺は泣きそうになりながら車を走らせた。

流石に車に霊を乗せたまま一人暮らしのアパートに戻るのは怖すぎるので、その日は友人のアパートに泊めてもらう事にした。

翌日友人に車を見てもらったが、もう憑いてないから大丈夫とのこと。

つい昨日まで幽霊が一緒に乗っていたかと思うと、運転している間生きた心地がしなかったが、友人の言った通り別に何も起こらなかった。

あまり怖くないかもしれないが、これが友人の霊感を信じるようになるきっかけになった訳です。

長文、駄文ですが、最後まで読んで下さった方ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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