中編5
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お化け屋敷

先日、『スタジオ』という話を投稿した者です。

実は私、僅かながら霊感があります。

とは言っても、実際に『見た』ことはなく、なんとなく「ここには何かいる」と解る程度のものですが。

今回は、そんな私が霊感を持つきっかけになった話をしようと思います。

始まりは、中学3年の夏でした。

当時私はボランティアサークルに所属していて、地域のイベントのお手伝いなどをしていました。

その年は町の夏祭りで、何かサークルから出し物をしないかとお誘いを頂いたので、ちょうど数年前の先輩達が、その夏祭りでお化け屋敷をしていたのを思い出した私達は、お化け屋敷を復活させようと決め、意気込みました。

場所も、お祭りの会場が公民館の駐車場でしたので、公民館の2階を使うことになり、サークルの活動拠点も公民館だったので、準備も割と楽でした。

その準備の時、普段は開けることの無い、いわゆる『開かずの間』である3階倉庫を開けることに。

先輩達が使っていたお化け屋敷の道具を保管していたので、使える物があれば使おうと考えていました。

初めて入るメンバーもいて、やたらテンションが高かったのを覚えています。

3階倉庫は屋根裏と言っても良い所で、窓も無く、昼でも電気や懐中電灯が無いと真っ暗です。

入った瞬間、すごい熱気でした。

お化け屋敷の道具は驚く程すぐに見つかったんです。

怖いくらいに。

発泡スチロールのお墓、破れた障子、下半身だけだったり首が無いマネキンなどが見つかり、ほぼそのまま使うことにしました。

その年は大盛況で終わり、翌年もお化け屋敷をやることに。

3階から出して来た物は、また3階にしまっていたのですが、次の年に3階を開けた時、おかしいことが起きていました。

前の年に開けた時は探しても見つからなかった首無しマネキンの首が、ドアを開けた目の前に転がっていたのです。

それだけではなく、手だけのおもちゃ、ジェイ〇ンのマスクなども出てきました。

どれだけ探しても出てこなかった物が、これ見よがしにドアの 前に置いてあったんです。

今考えてみれば明らかにおかしいのに、当時の私達はラッキーだ程度にしか思いませんでした。

私達のサークルは、何故か私の学年の人がほとんどで、高校に上がってからは、辞めたり来なくなったりする人が大半。

前年は人手も多く、使ったのも一部屋だけだったため、小道具を新たに作ったり、実際にメンバーの何人かがフランケンシュタインなどに仮装したりもしました。

しかしこの時は、人手が少なくなり、場所も二部屋に増えたこともあって、シンプルなものに。

グリーンボードで区切った長い通路を歩いていると、陰に隠れたメンバーが驚かしたり、グリーンボードの下の隙間から足を掴んだりと言ったものです。

そして迎えた本番。

私は外で客引きをしていました。

中では脅かし役の子が一人、体調不良を訴えたので、他の子と交代することに。

その子がいた場所は、音響(CDラジカセですが)がある、部屋の角と、マネキンの首を乗せたお墓が向かい合っていた所です。

ちょうどその真ん中に配置していた子でした。

そしてその交代で、私も中で受付の手伝いをすることになりました。

しばらくして、交代した子も具合が悪いと言っていたのですが、猛暑の中で長時間待つのに痺れを切らした保護者のクレームのため、交代する暇がなく、その子には仕方なく続投してもらいました。

結局その年も大人気で終わったのですが、本当に怖かったのはその後でした。

友達と二人で片付けをしていると、友達がグリーンボードの下から誰かが裸足で歩いているのを見たとか、私の後ろに女の人がいる、といったことを言い出しました。

というのも、その友達はいわゆる『見える』人なんです。

先輩が二人組で手伝いに来てくれた時も怖かったです。

先輩が突然マネキンの首と胴体をガムテープでくっつけた後に、それを抱きながら和室を走り回ったり、押し入れを開けたかと思うと、入っていた座布団を散らかして、その上を転がったり、押し入れに入ったり。

最初はまた先輩がふざけてる程度に考えていましたが、あとから聞くと、そうではなかったらしいです。

その先輩も結構霊感の強い人で、あの時も憑かれそうになっていたとか。

押し入れを開けた時なんか、中で着物を着た女の子が、体育座りしていたそうです。

しかも先輩に気付くと、押し入れを出て、私の陰に隠れたと言っていました。

その時一緒にいた、あの見える友達も同じように、私の陰に着物の女の子が隠れたと言うんです。

それだけじゃありません。

お化け屋敷で最初に体調不良を訴えた子は、どうやら霊感が付いてしまったらしく、高校でも時折見てしまうと言っていました。

交代した子も、あれから全然具合が良くならないので、ひょっとしたらとお祓いに行ってみた所、何体も憑いていたそうです。

その後もしょっちゅう体調を崩すようになり、何ヶ月かに一回はお祓いに行かないといけない体になってしまいました。

そして、お化け屋敷をしてから、公民館に苦情が寄せられました。

何かいる、怖いからなんとかしてくれ、と。

さすがに無視できない数のクレームに、公民館側もとうとうお祓いをしてもらうことにしたそうです。

その時来ていた拝み屋さん、お化け屋敷に来ていた子供達、サークルの見える人数人が口を揃えて言っていたことがありました。

あの時私の後ろに、頭の大きな男の子がいた、と。

私の腰くらいの背で、ずぅっと私の後ろについて歩いていた、みんながこう言っていたんです。

取り憑いてはいないと言われたものの、私もあのお化け屋敷以来、霊感というかセンサーのようなものが備わってしまい、未だに残っています。

おかげでお墓参りや、少し古い病院に行くのが苦手です。

まだみんなから教えてもらう前にお墓参りに行った時は、左半身だけがずっと震えていました。

その後に祖父のお見舞いに病院に行った時も、左半身の震えがきました。

移動中はぴくりともしないのに。

皆さんは、お化け屋敷運営に関わる時、事前にお祓いを受けておくことをおすすめします。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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