短編2
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モヤモヤ

私は当時、7階建てのマンションの7階に住んでいて、いつもエレベーターを利用していました。

その日もいつものように仕事から帰り、エレベーターに乗り、ボタンを押そうとしていたところに、親子が会釈をしながら、乗り込んで来ました。

中学生くらいの女の子と母親で、母親は3階のボタンを押すと、その子と話を始めました。

「…それで、中村さんがね、自転車を取りに行かはったらね…」

私はその話が一瞬で怪談である事がわかりました。

聞き耳を立てるつもりは無かったのですが、静かなのと、語り方が怪談の喋り方なので、聞きたくなくても聞いてしまいます。

「…後ろの方からにゃあ~にゃあ~って声がするから、ネコかなぁって思ったんやけど、どう聞いても赤ちゃんの泣き声なんよね。そやから、振り返るの、めっちゃ恐かったらしいんやけど、中村さん思い切って振り向かはったんよ。そしたらな…」

チーン

と、ここまで聞いたところでエレベーターが3階についてしまったのです。

親子はまた、会釈をすると、エレベーターから降りて行きました。

「続きめっちゃ気になるやん!」

と、私は間の悪いエレベーターと、周りを気にせず怪談をする親子に対して、怒りを覚えたのですが、親子と入れ違いにサラリーマンが乗り込んで来たので、その怒りをぶつけることもできず、モヤモヤしていました。

そうして、モヤモヤしたまま、私の部屋のある7階につきました。

チーン

ドアが開き、さぁ降りようかという時、前にいたサラリーマンがボソッと呟いたのです。

「•••女が首くくってたんやって•••」

その一言だけ言うと、その男はスタスタと出ていて行きました。

これって偶然なのでしょうか•••

そうかもしれません。

でも、そんなひとりごと言うものでしょうか•••

それに、マンションで3階から乗って7階で降りる。

そんなエレベーターの使い方する事ってあるでしょうか•••

怖い話投稿:ホラーテラー シロクマさん  

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