中編3
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歯形人形

私の彼女の女友達(仮にM氏とさせて頂きます)が小学1年生の時に体験した出来事を話させて頂きます。

…M氏は兄弟姉妹が居らず、お母さんもお父さんも働きに出ていて、お祖母ちゃんはたまに遊びにくるケド、大体はいつも家に1人ぼっちでした。

だから、いつもビデオを見てるか、絵を描いてるか、人形とかおもちゃで遊ぶしか家で過す方法がなかったそうです。

でも、友達を作るのが苦手だったM氏は、外に出て遊ぶコトが嫌いだったので

別に家で遊ぶだけでも

全然構いませんでした。

家に1人で居るというコトもあって、よくお父さんや知人の叔父さん、親族の人が

寂しくないようにと、お人形さん(バービー人形的な奴らしい…)をよく買ってくれました。

買ってくれたそのお人形さんの合計は全部で12体。

ケースに入れて、

特徴を見て、1人1人に

名前を付けたそうです。

ある時、人形と人形を持ってお話をしているかのように動かし、喋っている途中で睡魔に襲われ、

そのまま眠ってしまいました。

…そこで、夢を見たそうです。

自分と同じくらいの歳、ショートカットの髪で、服は花柄のワンピースを着た可愛らしい女の子と一緒に

お人形遊びを部屋でしていました。

あれ?この子…誰…?

と思いつつも、あまり友達がいなかったM氏は楽しくその子と遊びました。

遊んでいる内に、

ふと、目をやると妙なコトに気付きました。

その子の左肩ぐらいから左腕の肘のあたりまで、

なんだか赤黒っぽかったので

その子にどうしたのか聞こうかと思ったらしいのですが、

それを聞こうとした瞬間、声を出せなくなりました。

あれ…

と思い口を動かしていると、

その子がいきなりガッ!と左手首を掴んで

『お人形さん好き?』

と聞いてきたので、

動揺しつつも声はでませんが、とりあえず、うん、好きだよ。と口を動かしました。

するとその子が

『そぅ…いぃなぁ、こんなにたくさんと遊べて…

いぃなぁ、いぃなぁ、

なぁ、いぃなぁ゙!』

と言い、持っていた左手首を上にグィッと引っ張り、そのまま腕に噛み付こうとしました。

その時に目を覚ましました。

全身汗だくで、なんて怖い夢なんだろう…

と思いつつ、身体を起こしました。

その時、左腕に変な違和感を感じて気になって

半袖の裾を捲り上げました。

すると…、

明らかに自分の大きさとは異なる、大人サイズの歯形がくっきりと左腕に二ヶ所付いていました。

それを確認した後、

『…欲しかったのに゙…。』と耳元で声が聞こえました。

恐怖と驚きの余り、

M氏はその場で気絶したそうです。

目覚めるとそこには心配そうに覗きこむお母さんがいました。

どうやらずっと気を失っていたようです…。

そこで、今あったコトをお母さんに話しました。

話している時、

ふと、あるコトに気付きました。

ケース内の人形が2つ足りない…。

あっ…そっか、

さっきまでそれで遊んでたんだ…。

…ケド、どこいったんだろう?

と、部屋の中や別の部屋も探したのですが、

その2体の人形は、とうとう見つかりませんでした。

あの女の子は誰なのか…。

消えた人形はいったい何処へ…。

歯形は誰のもので、なんで付けたのか…。

以上

未だにわからぬコトが多い、M氏の実話でした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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