中編4
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モノクロの世界

※前作品、不謹慎では

不愉快な思いをさせたと思います。

お詫びでの気持ち、ではありませんが

両親の体験談を元にした

創作をお話します

――――――――――――――――

 これは、私が旦那と釣りへ出かけた時の事。今思いだしても背筋がゾクゾクとする19年前の話――。

 早朝、目が覚めた私は旦那を起こし布団から出る。時期は秋で早朝となれば幾らばかり冷気が肌をくすぐる。体を震わせ、肌を撫で暖を取りながら前日の内に用意しておいた洋服を手に取り着替えていく。

 今日は久々に旦那が2連休を取る事が出来たのでワゴン車で他県に釣りをしに行く予定だった。

 元々は旦那の趣味だったのだが、一緒にやっていく内に私も釣りをするのが好きになり週末には必ずと言っていい程、釣りへと出かける。

 荷物を車に積み込み終え、私と旦那は車に乗り込む。今日行くのは日本の南側。他県と言えど地元からはかなり距離がある。

 コンビニに寄り食品やお菓子や飲み物を買ってひたすら長い高速道路の道のりを走って行く。

 渋滞もなく、予定より早くついたので私たちは定食屋で早めのお昼を取った。旦那が蕎麦で私がうどん。

「一口頂戴?」

「お前が蕎麦食べたがるなんて珍しいな」

 そう、旦那が言う様に私はあまり蕎麦が好きではない。そもそもパスタ、うどん以外の麺類はあまり好まない。

 それでもこんな時だし、と気まぐれで食べた蕎麦はサッパリとした味付けで、美味しかった。

 それから定食屋を出て、私と旦那は海辺に車を停めて釣り用具を出す。

「アナタ、磯蚯蚓(イソメ)やって」

 釣り針と蚯蚓(ミミズ)にソックリな虫が入った箱を渡して私は海を眺める。

 左側の釣り場にはテトラポットがあり、オジサンが投げ釣りをして楽しんでいる。 左側を見れば釣り竿を置いて椅子の上で眠る人。

「ほら出来たよ」

「ありがとう」

 釣り竿の糸を海に垂らして、雰囲気を楽しみながら私は秋独特の涼しい空気に目を細めた。

 暫くして、釣り竿がシナる。魚が食い付いた――。

 そうこうしている内にあっと言う間に夕方になり、私たちは引き上げる事にした。結構大量に釣れたし私は満足だったが旦那はあまり釣れなかったのが悔しいらしい。

 車に乗り込みしばらく運転していた旦那が思いついたかの様に言う。

「この近くに綺麗な砂浜があるけど

 今から行く?」

「行くー」

 それが間違いだった

 今居る場所から大分離れてる砂浜へ向かい車は進んで行く、辺りは黄昏時を過ぎ宵闇が迫りつつあった。辺りが鬱蒼茂っている所為か何時もよりも暗く感じる。

 砂浜につく頃にはしっかり夜になるだろうし、どうせ夜釣りをする事になるだろうからて言った気持ちからか私は睡魔に襲われる。そしてそのまま、意識は沈んでいった。

 突然襲ったのは言い表せない不快感だった。気持ちが悪く悪寒がする。ここ最近は無縁だったが、以前行った恐山へ行く道のりで感じたものと同じ類の嫌悪感だ。

 私は幼い頃より人には見えない何かを感じたり見る事ができた。霊感が強いらしい。と言うのもそれは私の家系的なものらしい。

 兎に角、嫌な感じがして私は目を瞑ったまま意識だけを嫌悪感のある場所へ向けた。

「おい、起きろ」

 旦那に揺すぶられて私は目を開けるたその時私はすぐに異常な事に気が付いた。辺りは暗いと言うのに寂れた無人の民家や古井戸がハッキリと見える。

 それ所か普通は暗くとも色の変化がわかると言うのにその空間だけはモノクロだけだった。

 唯一カラフルなものがある事に私はすぐに気がついたが、それを見て余計に気分が悪くなる。

 古井戸の前に置かれた花束。その1つだけが色を放っていた。

「おかしいだろ?」

「そうだね、おかしい」

 旦那はまるっきり幽霊を信じていない。そんな旦那ですらパニックになってしまうこのどんよりとした雰囲気。

 停めてた車を走らせ、抜け道を探し進むも何故かその場所に戻ってしまう。

「そんな……落ち着こう、慌ててもしょうがない」

 何度も、何度も……。

 走っては、古井戸の前へ戻る。

「出口、探してくる」

 急に車を停めて旦那は言った。私が小さく頷くと旦那は車から出る。

 まるで何時間もこの場所にいるかの様に感じた。強くなってく嫌悪感。気持ちが悪い……。

 暫くしてやっと旦那が帰ってきた。無言で車にエンジンをかけ、道を進んで行く――。

 開けた場所には、田舎道がありその先には砂浜があった。やっと出られた事に私と旦那は安堵したのだった。

 翌日の昼間、私たちはその場所を探してみた。

 しかしそんな場所は探しても見つからず私たちは、不思議に思いながら家へ帰宅したのだった。

あの場所は、今も人を迷わせているのだろうか?

怖い話投稿:ホラーテラー 真夏火さん  

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