中編2
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雨の日に

しとしと、しとしと。

雨の日の公園は人が居ないから、私にとって誰にも邪魔されずうんと羽を伸ばせる場所だった。

彼女と出会ったのも、そんな雨の日。

「あれ? 誰か居ると思わなかった」

なんて声を掛けてきたのは髪が茶色くてショートヘアーの活発そうな女の子。

私の長い黒髪とは対照的なのが羨ましくて心の中では、いいなぁ。なんて思ったりして。

「こっちもびっくりー」

笑いながら言うと、彼女もニコリ。

「ねぇ遊ぼう?」

「うん良いよ、何して遊ぶ?」

うーんと彼女は唸りながら考えた。私もうーんと唸りながら考える。

「鬼ごっこは?」

最初に提案したのは彼女だった。

「びちゃびちゃになっちゃうよ」

「じゃぁ高鬼」

「二人じゃつまらないよー」

「えーどうしよー」

彼女は困った様にむくれた。私も困った様に苦笑いする。

すると彼女は、名案が思いついたのか顔を明るくして笑った。

「私の家に行こう、ピアノあるよ」

「あ、行く行く」

お母さんには、知らない人について行っちゃいけない。とか言われてたけど彼女はもう知らない人じゃなくて友達だし

それに他の子の家にも行った事あるし大丈夫だよね。

なんて簡単に私は考えながら頷いた。

公園は、私の住むマンションを真っ直ぐ歩いて右に曲がるだけ。

彼女に手を引かれて歩いた道は、私の家からずっと真っ直ぐ歩いていった所にあって、結構大きめな一軒家だった。

石が間をあけて玄関まで置いてあって

土は雨でぬかるんでた。近所にはない縁側があって、どちらかと言えば和風なお家。

「ここだよ」

彼女がニコリと笑うから、私も釣られてニコリ。ガラガラと音を立てて硝子玄関をあけた彼女は大きな声で「ただいまー」と言った。すると中からお婆ちゃんが出てきて「おかえり」と言ってくれる。

優しそうなお婆ちゃんで、なんだか暖かい気がした。

「お友達かい?」

「うん!」

「はじめまして、紅です」

「はじめまして」

お婆ちゃんは私に頭をふくタオルを貸してくれて、私はニコリと笑う。お婆ちゃんもニコリ。

それから私は彼女とピアノをしたり絵をかいたり、お婆ちゃんと話たり。夕方になって帰り際に彼女は私に宝物だと言うトゲピーのステッカーをくれた。

「ありがと」

「大事にしてね」

「うん」

数日後、彼女の家は見つからなかった。

そして私は彼女と二度と会う事はなかった。

トゲピーのステッカーは今も家にある

怖い話投稿:ホラーテラー 紅さん  

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