短編2
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だるまさんがころんだ

これは全部夢の話です。

ただあまりに怖くて

妙に暗示的だったので何年も経った今でも忘れられません。

舞台は実家の在る瀬戸内海に浮かぶ小さな島です。 

この島は何故か島の外から自殺しにくる人が数年に一回はあり

界隈では有名な心霊スポットとなっています。

数年前にそんな故郷の島の夢を見ました。 

島の中腹の急な坂道の脇に自転車置き場があります。

僕は島の上にある実家から自転車置き場まで歩いて降りてきて

麓の町まで行こうと

自転車を押し始めました。

ふと今降りて来た道を振り返ると

十メートル位先の坂道の端に

女性がこちらに足を向け

仰向けに倒れていました。

その時僕は 

「あ、死んでる」

と思いました。 

理由は無いです。 

ただそう思いました。 

しかしよく見ると

女の人は赤ちゃんを胸に抱いていました。 

赤ちゃんはうつ伏せで

頭をこちらに向けて。 

ちょうど女の人と真逆の体制です。

突然その赤ちゃんが泣き出しました。

そして上半身を起こして

真っ黒な眼でこっちを見て

「タスケテ」

と叫びました。

僕は「助けな!」と思い

坂道を登ろうとしましたが

足が全く動きません。 

「行ったらダメだ!」

と何かに警告されているような金縛りでした。 

しばらく目も逸らせずに二人に見入っていると

赤ちゃんの声が悲鳴の様な鳴き声に変わっていき

その直後

ゆっくりと女性の上半身が起きだしたのです。 

(!? 死んでるはずなのに!?) 

そこからはもう助けるとか考えられず

自転車に飛び乗って

坂道を一気に下って逃げ・・・ ても駄目でした。 

後ろから

カサカサカサ 

という枯葉の上を這うような軽い音が

猛烈な勢いで追いかけて来て

ベチャ 

と、背中左半分全体に何かが取り憑きました。 

僕は体が硬直し

背中は反り返り

自然と天を仰ぐ姿勢になりました。

すると

ドン 

自転車の前の籠に何か飛び込んできました。

「見たらダメだ!」 

と思いましたが

「もう終わりだ」

とも思いました。

その直後

後ろから

左の耳たぶを指でそっとつままれて

息がかかるくらい近く

耳元で

暗く耳の奥に響くような声で

ゆっくりと

ダ ル マ サ ン ガ コ ロ ン ダ

ここで目が覚めました。

僕は恐怖のあまり

泣きながら家中の電気をつけて

テレビもつけて一晩寝ずに過ごしました。

この夢は何だったのか。

夢で女性が倒れてた場所の近くの木で自殺があったのは確かです。

僕は第一発見者ではないですが、部屋の窓から(40〜50メートルくらい先)見ました。

ただあの時は男性一人だったはず。

霊感の強い連れは「男性とは関係なさそうだけど、何か暗示してそうで嫌だな」と言います。

夢の最後...

振り返ったらどうなっていたのでしょうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 鮟鱇鍋さん  

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