友人から聞いた話です。
旅先で立ち寄った神社の話なんだけど
親切なお坊さんと色々話してね――――
その神社は『薫的神社』と呼ばれ祭神とされるのが薫的(くんてき)という名の僧侶で、元々は瑞応寺(長宗我部元親の菩提寺)という禅寺の住職だった人物だそうです。
時代の変遷とともに藩主もコロコロ入れ替わり、山内家の時代に菩提寺として新たに建立されたのが真如寺というお寺です。
新旧勢力はいつの時代も、どこの国でも折り合いが悪かったらしく、土佐でも瑞応寺と真如寺の寺格を競う争いが勃発したのでした。
その火種となったのが真如寺側の間違いにあったといわれています。
亡くなったお殿様の戒名の付け方の誤りを瑞応寺の薫的和尚に指摘されたことにあったのですが、
誤りを指摘された新勢力のお殿様は怒りを爆発させ、旧勢力である薫的和尚を投獄したのです。
その処遇に抗議するため薫的和尚は断食を決行し
最後は舌を噛み切って憤死したのです。
その後、謂われなき罪を着せ、和尚を投獄した当時の土佐藩主一族を次々と悲劇が襲うのです。
家族の早死――
薫的和尚の祟りを畏れれたお殿様が和尚の霊を鎮めるためこの地に祀ったのが薫的神社の始まりであったと伝えられています。
僧から怨霊、そして神となった薫的は神社の名前にまでなりました。
殿様に従わず憤死した薫的和尚は土佐のヒーローになり、現在は勝負・学問やスポーツの神として篤く信仰されているようです。
次の日に改めてお礼を言いに行ったんだけど
そのような方はいないって言われて
じゃあ あのお坊さんさんは誰だったんだろう
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話