短編2
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疑心

『疑心』

彼女との出逢いは高校1年の春。

どこか影ある印象で、内向的なイメージ。

周りの子とは纏っている空気が違ってた。

数年前に両親を火事で亡くし、親戚に引き取られているとクラスメートから聞いた。

そんな事情もあったのか、常に後ろ向きな学校生活を過ごしているように見える。

どこか影のある表情。

なぜか日に日に惹かれていくのがわかった。

高校の卒業式、私は思いを告げ、その恋を実らせた。

交際中も内向的な性格や影のある雰囲気は変わらない。

でも、たまに見せる笑顔が大好きだった。

それから数年後、僕たちは結婚したんだ。

両親のいない彼女を絶対に幸せする…そう誓ったはずだった。

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結婚して5年ほどたった頃だろうか。

子宝には恵まれていないが、幸せに暮らしているつもりだった。

この頃から少しずつ彼女に変化が出てきた。

寝ている時にいつも、うなされている。

そして夜中に起きたと思うとコソコソ携帯をチェックする。

そんな日が、ここ数ヶ月続いている。

出会い系サイトにでもアクセスしているのか…

男性とメールをしているのか…

正直、浮気を疑った。

ある夜、彼女が入浴中に不謹慎ではあるが携帯をチェックした。

自分の気持ちに自制がきかなくなっていたと思う。

しかしロックが掛かっていたため未遂に終わる。

さらに疑心が膨れ上がった。

その日から私の日課は、暗証番号の解読になった。

入浴中の30分、毎日、毎日繰り返した。

彼女の様子をうかがい、指の動きで、5ケタで0から始まる事がわかった。

そのヒントを頼りに暗証番号との戦いが始まった。

証拠を掴んでやる

そんな思いでいっぱいになってたんだ。

いつからだろう…

罪悪感は消え失せてた。

何ヶ月たった頃だろうか。ついにその時が来た。

無造作に押した5桁の数字は携帯のロックを解除した。

胸の鼓動が高まる。

とっさに今押した数字を思いだす。

メモ帳を取り出し書き写す。

0…8…5…6…4

よし。

…08564

…08564

えっ?

私は、そっと携帯を閉じ深いため息をついた。

怖い話投稿:ホラーテラー そらっぺさん  

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