ずいぶんと古い話。
雪の降る山道をある旅人が歩いていた。
山道から抜け出し、町に出ると、宿をとるため街の人に聞いて回った。
旅人はお金が少ないことを相手に伝えると、
通りすがりの者は「出る」けど安い宿を教えてくれた。
旅人はさっそくその宿をとり、夜には帰ってくると宿主に伝え、近くの酒場へ飲みに行った。
酒場の店主に宿について訪ねたところやはりその宿は「出る」らしい。
日は落ちて、男は良い具合に酔っていて、宿につくなり、すぐにベッドに潜り込んだ。
寝付いてから数時間がたった頃だろうか、旅人は自分の部屋のドアがあくおとで目を覚ました。
そしてすぐに自分の足もとに寒気を感じた。
誰かが潜り込んでいる。
酔っていた男は叫んだ「だれだぁ!!」
足元から声が聞こえてくる。「寒いんです、寒いんです、」
旅人は気付いた。
「こいつが噂の......」
そして考え込んでから言った。
「寒けりゃ俺の隣でかってにねろ!!」
そいつはおそろしく冷たかった、旅人は寝てしまったのか気絶してしまったのか、意識が遠のいていった......。
「暖かかった.........。」
耳元でそう聞こえた。
旅人は目を覚まし、辺りを見回した。
誰もいなかった...。
旅人は宿代を渡し、宿を出た。
朝の日差しがまぶしい。男は目を細める、そして言った。
「俺の心は温かかったかい?」
怖い話投稿:ホラーテラー 通りすがりさん
作者怖話