短編2
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カマ男伝染

中学生の時、学校の近所に変質者が出るという噂がたった。

片手に鎌を持っていたという証言から、鎌男と呼ばれた。

彼は「お前が変質者か」と聞いてくるので、こちらが「お前だ」と唱えると逃げていくという噂まで立ち、半ば都市伝説と化しつつあった。

そんな時期だったから、私は家が近所だったサカキ君と下校するようにしてもらっていた。

ある日、互いの都合が合わず、私だけ少し先に下校する事になった。

日が暮れて不安だったが仕方ない。

田舎なので、学校から出て10分程で暗い森を通ることになる。

脅えながら早足で歩いていると、ふと、真っ暗な森の半ばの道で、右手の茂みに何かが光った気がした。

目を凝らしたが、闇が濃くてよく見えない。

恐怖に耐えかねて私は駆け出した。

しかし道のコブにつまづき、転倒してしまった。

慌てて起きると手の中から鞄が消えている。

茂みの中に放ってしまった様だ。

半泣きで草むらに手を伸ばすと、

ガサリと音を立てて足元に何かが現れた。

つい悲鳴をあげたが、狸か何かだろう。

しかしそこにいたのは、

四つん這いの毛深い人間だった。

手に鎌を持っている!

そして、

「お前が変質者か…?」

言いながら振られた鎌が私のスカートと膝をかすめ、鋭い痛みが走った。

私は叫び声をあげて逃げ出した。鎌男が追ってくる!

その時、少し遅れて下校してきたサカキ君の声がした。

「大丈夫か!あっち行ってろ!」

サカキ君は鎌男に組み付き、茂みにもつれていった。

暫く続いた物音が止み、茂みの中にサカキ君が立ち、口を開いた。「大丈夫か」

「私は平気。サカキ君は?

「大丈夫か」

「え?」

「あっち行ってろ」

「その手に持ってる鎌は鎌男から取り上げたの?凄いね」

「あっち行ってろ」

違和感があったものの私は帰宅した。

その日からサカキ君は失踪した。

あの森からは翌日毛深い男性の遺体が発見された。

男性は少し前から行方不明になっており、その前は地域のパトロールを担っていたらしい。

少し後、隣町の林の中でサカキ君が遺体で見付かった。

鎌は持っていなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー さわさん  

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