短編1
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足元の顔

特に霊感がある方ではないのですが、奇妙な体験をしたので、投稿させてください。

私がまだ小さい頃、小学校に入る前だったと思います。

私の街には、冬に結構規模のデカいお祭りがあります。

祖父母と母親とで、出掛けたそのお祭りで、私は片手には金魚すくいで、すくった金魚を持ち、もう片方は母と手を繋いでいました。

何気なく人混みを眺めていると、たくさんの歩く人の足の間に、おじさんの顔が見えました。

頭は半分ハゲていて、目がやたら真っ黒で、顔色は濁った白と言うか、ネズミ色に近い感じでした。

顔はこちらを見て口をパクパクさせていました。

子供心に『ヤバい』と感じ、母の方を向くと、手を繋いでいたハズの母も祖父母もどこにもいません。

顔の方を見ると、まだこちらに向かって口をパクパクさせています。

私は、怖くなって、その場で大泣きしたのですが、不思議な事に大人は誰も気付いてくれません。

私は、金魚を振り回しながら、必死で逃げました。

しばらく、走って見渡すと、顔はさっきよりも近くにいました。

依然、パクパクとこちらを向いています。

さっきよりも近くに来ていたので、聞き取れませんでしたが、何となく声が聞こえました。

「うっ」とか「くぅ」とかそんな感じ。

どうやら、追いかけて来ているようで、私は更にパニックで大泣きしながら逃げました。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー ヤギ(*めωめ*)さん  

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