短編2
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夜合鏡

私が中学生の時、合わせ鏡の怪談が流行った。

学校のどこかに呪いの鏡があり、夜12時にその鏡で合わせ鏡をすると、死の世界へ連れ去られるという。

昔校内で、手首を切って自殺した女子がおり、その血が鏡にたっぷりかかったせいで呪いが籠った、という話も聞いた。

級友のカナに誘われ、私はある夜学校に忍び込み、その鏡を探すことになった。

カナの事は正直苦手だったが、嫌だと言えない私の性格を見込んで(?)抜擢されてしまった。

夜中、各教室を順に見、科学室に入った時、カナが言った。

「何あの鏡」

科学室の黒板の左横には、ガラスの覗き窓の付いた準備室へのドアがあるのだが、黒板とドアの間に画板くらいの大きさの鏡が架けてあった。

「どこかの委員会からの寄贈とかじゃないかな」

この時丁度12時になってしまった事が気になり、私は携帯の時刻表示を見ながら答えた。

顔をあげるとカナの姿が消えていた。

準備室のドアはノブが有り、科学室側に引いて開けるタイプの扉なのだが、それが開いていたので準備室の中も見ても、カナは見当たらない。

蝶番がキイキイと鳴り不気味だった。

カナは先に帰ったのかと、不愉快なまま私も帰宅した。

翌日からカナが行方不明になった。

私は彼女と最後にいた科学室が気になり、放課後に訪れてみた。

例の鏡が無くなっていた。

夕闇の中、準備室のドアの覗き窓が鏡の様に私の顔を写している。

あの時カナは鏡の前に立っていた。

昨夜の位置にあの鏡があったら、

このドアを壁に着くまで

開ききれば、覗き窓と鏡で

合わせ鏡になり、カナは

その間に立っていた事になる。

それに気付いたら何故か

寒気がした。

やがて新たな怪談が流れた。

夜12時に校内のどこかの窓を覗くと、真っ暗闇の中必死に助けを求めて来る女子の姿が見える。

その後ろには手首から血を流した女が立っている。

級友のミカが、噂を確かめてみようと私を誘って来た。

私は珍しく、嫌だと断った。

怖い話投稿:ホラーテラー さわさん  

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