中編3
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開かずの扉

開かずの扉。

僕らはその扉をそう呼んでいた。

正確には引き戸だったから開かずの戸なんだろうけど、幼かった僕らはその間違いにも気付いていない。

あれは小学校2年の夏休みの事だ。

その扉は親友の家にあった。

親友の名前はN。

スポーツ少年団では野球部のピッチャーで、校内のマラソン大会はいつも一位の活発な奴だった。

小学校の時は運動神経のいい奴がモテたから、当時はすごくうらやましかったもんだ。

話を戻そう。

夏休みと言う事もあって、僕と友人YとでNの家にお泊りに来た。

昼間のうちはスーパーファミコンのドッヂ弾平をして盛り上がった。

特に持ち主のNはプレスショットの連発で、僕の珍念を事ごとくヒットした。

スーファミに飽きた頃、Nのお母さんが昼飯を作ってくれた。

そうめんだったが、みかんの缶詰やらチェリーやらが乗ってて、すげぇ豪華に見えた。

うちのは具なしだったからさ。

それで次は誰がそうめんを一番食べれるか大会に変わって、驚異的な食欲を見せたYに優勝が決まった。

昼飯を食べ終えて、台所でテレビを見ていると、Nのお母さんが夜勤に行くと言って、家を出た。

Nのお母さんはおっきな病院で看護士長をしてるからだ。

そして家を出る時に、Nのお母さんはいくつか僕らに注意事項を伝えた。

火の元に気をつける事。

外に遊びに行く時は鍵を閉めていく事。

鍵は牛乳箱に入れる事。

そしてあの扉から中には入らない事。

そう、あの扉は開かずの扉の事だ。

僕らは、「はーい。」と元気良く返事をしてお母さんを見送った。

家の中には子供3人だけとなり、好き放題遊び散らかした。

NとYは勢い余って、障子を破いてしまったり。

そのうち流れで隠れんぼをする事になった。

ジャンケンをしてYが鬼になり、Nと僕は逃げる役になった。

僕は隠れんぼと缶蹴りに命を掛けていた時期だったので、見つかる=死 だと自分に言い聞かせていた。

今思うと痛い子だったんだな。

僕は絶対に見つかりたくなかったので、簞笥の中や浴槽の中を考えたが、そこでは安心しきれず、Nのお母さんに注意されていた禁断の扉に手をかけた。

引き戸は思いの他、簡単に開いてくれた。

中に入ると真ん中に細い廊下が有り、左右に四畳半くらいの和室が並んでいた。

そして廊下の突き当たりには、もう一つドアがあり、ドアの形から馬鹿な僕でも洋室だろうと想像がつく。

僕は迷わずドアノブをひねり、中に入った。

部屋の様子を確認する前に、こちらに背を向けた人がいた。

その人はテレビを見ていたが、形がおかしかった。

背を向けていたが、両手と両足がないのだ。

僕はパニックになり、少しオシッコもちびってしまった。

その形のおかしな人は、僕が部屋に入ったのに気付いてか、ゆっくりと振り返ろうとした。

時間にすると一秒もなかったと思う。

僕は顔を見たら殺されてしまうと感じた。

そのまま一目散に逃げて、台所まで戻った。

ちょうどその時、Yに見つかってしまい捕まった。

YはNも簡単に見つけて、次は僕が鬼になる番だったが、懇願して早めのお風呂にしてもらった。

二人は何で急に?って顔してたが、あまりに僕がお願いするので渋々お風呂に入ってくれた。

とりあえず、オシッコをちびった事はばれなかったが、まだ形のおかしな人についての問題が残っている。

結局、僕は形のおかしな人の事を言い出せないまま、お泊り会を終えた。

多分、僕はアレが幽霊だと思ってたし、二人は信じないだろうから。

万が一話すと、確認に行こうと言い出すかもしれない。

もう一度、開かずの扉に入る勇気は持ち合わせてなかった。

Nにはかわいそうだが、幽霊屋敷によく住めるなーなんて思ってた。

でも僕が高校に入ってから間もない時に真相を知る事になった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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