短編1
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こわれた

一番最初に お父さんがこわれた

盆栽をいじりながら 枝をぐにゃぐにゃに曲げ

ぽきぽき折り そしてにっこり笑い

だけどイライラして

次に お母さんが自然にこわれた

とても慎ましく ひっそりしていて

そんな意外さは あったけれど

そしてどこか 遠い遠いところを見てる

おじいちゃんは はじめからこわれてたらしい

桃太郎の話は もう何千回も繰り返し

今日も学校から帰ると 鬼がどんちゃん騒いでいる

学校では 先生が同時にこわれた

音楽の先生も 体育の先生も

夢のない夢を見せている

廊下をいつも 文化箒を持って

モップを持って過ぎる

恋人は 一向に変わりがないので

退屈さはとうに 意味がなくなっている

もうどこかで こわれてるのか

意味不明の笑顔で 今日も出会う

友人は 図々しく意地悪く

音をたくさん立てて 次々にこわれた

そして僕にも 笑える時の

幸せに包まれる

「僕にも笑わせてよ」

そしてその時 こわれた僕のおかあさんが

こわれたみんなを 大声で呼びます

さあ皆さん 夕食の支度ができました

今日も残さず たくさん召し上がれ

そして楽しく とても幸せに

食事の時間が 我が家に訪れる

我が家に訪れる

我が家に訪れる

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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