短編2
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宅急便です

注:心霊話ではないです。

私は築25年、4階立てアパートの4階に住んでいる。

古いしエレベーターもないが、駅近だし生活するのには便利で結構気に入っている。

ついさっきの出来事。

階下から音が聞こえた。

ピンポーン

このアパートは、昼間でもよく音が響く。

少し間があって

ピンポーン、ピンポーン

「宅急便でーす」

アパートは1階2部屋。階下には女性の一人住まいと、家族三人住まいが入っていたはず。

単純にタイミング悪いな、と思った。しかし、チャイムは続いた。

ピンポーン

「宅急便でーす」

ピンポーン、ピンポーン

「宅急便でーす」

ピンポーン

ちょっとしつこいと思ったけれど、私自身、部屋にいれば一回目のチャイムで出るし、不在の時ってこんなものなのかな?と思いきや

ガチャガチャ!

「宅急便でーす」

ピンポーン、ピンポーン

ガチャガチャ!

「宅急便でーす」

ドアノブを回している!

いくら何でもやりすぎだし、どこの会社かトラックで確かめてやろうと窓の下を見た。

何もない。

トラックも、自転車もスクーターも何もない。

チャイムは鳴り続けている。

誰!?本当に宅急便?

てんぱったが階下に降りて確かめる勇気はない。

びびりまくっていると、不意にチャイムが止まった。

不思議なもので、沈黙が逆に怖くなる。

すると、階段を上がってくる足音がした。

隣の部屋は空いていてポストには目張りをしている。

これは、もしかして…

ピンポーン

「宅急便でーす」

来た!!

玄関から反対側の窓辺にいる私の恐怖は最高潮。

そりゃあ鍵は締めてるしチェーンも掛けている。

でも出る勇気はない。

レンズを覗くのも怖い。

ピンポーン

「宅急便でーす」

ピンポーン、ピンポーン

「宅急便でーす」

ガチャガチャ!

ピンポーン、ピンポーン

「宅急便でーす」

ピンポーン

完全に涙目。というか泣けた。

居留守がばれることが怖くて電話どころか動くこともできない。

チャイムと呼び掛けが続いたのは2分くらい。

やっと足音が去り、へたり込んだ。

それでもどんなやつか確かめたくて、カーテンに隠れて階下を覗く。

降りてきたのは、黒のジャンパーにジーンズ、黒系キャップを被っていたので顔はわからないけれどたぶん中年男性。

もちろん知らない人。

そして、手ぶらだった。

とりあえず管理人には連絡しようと思う。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
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開けていたらどーなってたのか...怖いですねー!

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気付いたのは幸いだったね。

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