短編2
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『透明人間』

「きゃあー!」

私の姿を見た女性が声をあげる。

無理もない。

霊かなんかだと勘違いしているのだろう。

しかも私は裸だ。

昼間は完全に透明だが、夜は半透明で見えるらしく、私を見た人々は奇声をあげて逃げていった。

ついに長年の研究が実を結んだのだ。

私は透明人間になれた。

物理的に不可能だと科学者や医者の仲間達には笑われ続けて20数年。

方法は思っていたより単純だった。

幽体離脱だ。

世界中の霊現象、あらゆる宗教や魔術を研究し、肉体と精神の血のにじむような鍛練を積み重ね、やっと体得した。

この何日か世界中を旅し、様々な国の国家機密情報や人々の私生活を覗いてきた。

この能力で巨万の富を得ることも確実だろう。

クックックッ!

仲間達の驚く顔がやっと見れる!

さて、いったん体にもどるとしよう。

無いっ?

研究室にあるはずの私の体が…。

代わりにベットに花が添えられている。

まさか…。

仲間の勤めている大学病院へ向かう。

到着するとオペはすでに始まっていた。

間に合った!

焼却されていない!

仲間が私を救おうとしている。

すぐ体にもどらなければ…。

A「仲間の遺体解剖って、気がひけるよなぁ。」

B「しょうがないよ。死因を追究するのも僕らの仕事だから。」

A「あれっ?今、心臓動かなかった?」

B「気のせいだろ?もし生きていたら、麻酔無しの解剖に耐えれるわけがない。

次は脳の状態を調べるから電気ノコギリで頭蓋骨の切開を始めよう。」

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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