短編1
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終電

飲み会でつい盛り上がってしまい、帰りの終電車に慌てて飛び乗った。

やれやれと席に着こうとした時、おかしなことに気づいた。

客は4人くらいですいているのに、1人を除いて誰も座っていないのだ。

座っている客は、私と同じ20代くらいの女性。

立っている客は、スーツ姿の中年男性、茶髪の若者、白髪のおじいさんの3人。

すいているにもかかわらず、その誰もがつり革につかまり、座ってる客の目の前に集団で立っているのだ。

3人の男性はいずれも青白い顔で、女性をじとっとした目で見つめている。

女性は目の前の男たちを意にも介さず、文庫本を読んでいる。

酔っていたのも手伝って、私はその姿を呆然と眺めていた。

「××~、××です」

アナウンスにハッとした。私の降車駅だ。

と、突然、女性が立ち上がり、電車を降りた。

男達はその様をじっと見ていた。

慌てて後を追うように降りようとした私の背後から、声が聞こえた。

「あんたも見えてたんだろう?」

電車は去った。

ホームには誰もいなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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