短編2
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広末親衛隊

私は所謂『見える人』だ。

とはいえ、ただ見えるだけのなんちゃって霊能者だが…。

お祓いなんて出来ないし、ヤバイのに出くわすと怖くて怖くて堪らない。

実は、前の彼女とはそれが理由で別れてしまっていて、かなりのトラウマだ。

そんな私に気を遣ってくれた後輩が、先週、コンパを開いてくれた。

彼とは2年程前にとあるキャンプで知り合ったのだが、何はともあれ良い奴であることには違いない。

そのコンパのときの話。

『こんばんゎ〜。遅くなりましたぁ〜』。

先に会場に着いていた我々男性陣に遅れること10分。

待ちに待った女の子達が部屋に入ってきた。

ランダムに男性陣の正面に座っていくのだが、私の席の正面は、座敷の出入口だったため、必然的に一番最後に入ってきた子が私の正面に座ることになる。

どんな子か目を輝かせて見ていた。

(『おぉー!!!ラッキー!!めちゃくちゃかわいいじゃん』)。

思わず心の中で叫んでいた。

最後に入ってきたその子は、ショートカットで笑窪のかわいい広末涼子似。無理もない反応だ。

『今晩は。よろしくお願いします』。

更に、一番始めに、教養の欠片すら無さげな挨拶をしながら入ってきたギャル風とは同じ人種と思えない程の礼儀正しさだ。

他の男メンバーも恨めしそうに私を睨んでいるが、大したことはない。

だが、私の希望はその後10秒と経たずに打ち砕かれた。

かわいい笑顔を振りまきながら座ろうとする広末に続いて、男が入ってきたのだ。

勿論、あちら側の方だ。

(『ちっ!オマケ憑きかよ…。まぁ、一人くらいなら我慢するさ…。慣れてるしな………って、おいおい、冗談じゃねーぞ』)。

その後、隊列を組んだように入ってくる男たち…。

遂に座敷の中は男だらけになってしまっていた。

『俺達の広末に手を出すな』と言っておられることくらい私には理解できる。

だから、そんなに睨まないで…。

『…あの。どうかしました?』。

『……いや、その…モテるんだねキミ…』。

『え〜!?そんなことないですよぉ〜(笑)』。

…まぁ、分かる気がした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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