中編4
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とある日曜日の話

これは、俺と俺の友達Aの話だ。

その日、俺は嫌な予感がしていた。

「D!(俺)ちょっとつ付き合ってくんねぇ?」

「ヤダ」

「お・ね・が・い!愛してるからぁ~」

「顔がキモイからヤダ」

「あ!!人の容姿のことを言っちゃダメなんだよ!!」

うざい。

めんどくさい。

そして絶対ろくなことじゃない。

俺を巻き込むのはやめてくれ。

・・・と思いつつ、結局巻き込まれる俺のバカ。

Aは自称霊感少年だ。そしてそれを隠そうともしない。普通、そういうのってあんまり言わなくね?まぁ、皆ネタだと思っているらしく、信じてるヤツはいなかったけど。

そしてAは俺をとあるボロアパートに連れてきた。俺らの地元の駅から電車で約1時間半。

Aよ。どうでもいいけど遠いわ。俺の電車賃、往復で1.560円払ってくれんだろうな?

そしてAはアパートの集合ポストのひとつを開けた。そのポストにはダイヤル錠がついていたけど、Aは暗証番号を知っていた。そして中から鍵を取り出し、アパートの階段を上り鍵を鍵穴へ・・・・・ってちょっと待てい!!!

「A!!」

「なに?」

「お前んチ?」

「いや。」

ですよね。

お前んチ、俺んチのナナメ前にあるもんね。

「知ってる人?」

「いや」

おまっ・・・

それって不法侵にゅ・・

ガチャ

玄関が開いた。

Aは部屋に入っていく。

俺も入ろうとしたけど、やめた。その部屋はゴミ屋敷顔負けの凄まじさだった。Aはゴミをかき分け部屋の押入れの前で立ち止まった。

「おい、D!ちょっと来て手伝ってくれ」

・・・いやだ。

すげぇ嫌な予感するよその押入れ。

だけど、俺は覚悟を決めて部屋に入った。

Aは俺に黒いゴミ袋を渡し、口を開いておいてくれと頼んだ。俺は言われるがままゴミ袋をスタンバイ。

俺の心臓はバクバクしていた。

この押入れの中には、何が入っているんだよ。

「じゃあ、開けるぞ」

「おっ・・・おう}

そしてAは勢いよく押入れを開けた。

押入れの中から出てきたもの・・・それは、

『若奥様の情事』

若奥様の情事・・・?

エロDVDだった。

まぁ出てくるわ出てくるわ。

ってかどんだけ若奥様好きなんだよ。

Aは無言でエロDVDをゴミ袋に入れていく。

そして全てのエロを入れ終わると、押入れの奥から、キレイにラッピングされた包みが出てきた。

その包みはだいぶ前のものなのだろう、かなりホコリをかぶっていた。

Aはその包みを丁寧にはがしていく。

何が入ってるのか。

俺も興味津々で見てた。

中からでてきたのは、

エプロン。

白いフリフリのエプロンだ。

ま、まさか、若奥様プレイか???

俺はさっきと違うドキドキを感じていた。

Aは包みを丁寧に元通りにすると、

「次、行くぞ」

と言った。

それから、若奥様達をゴミ置き場に捨て、電車とバスを乗り継ぎさらに1時間。

たどりついたのは、さらにボロいアパートだった。

Aは、とある部屋のインターホンを押す。

ピンポーン。

すると中から知らないばぁちゃんが出てきた。

「・・・どちら様?」

「こんにちは!!突然すみません!!あの、俺はAといいます。こっちは友達のDです!」

俺はなるべく関わらないように、ちょっと遠い所にいたんだが・・・紹介されてしまったので渋々挨拶した。

「はじめまして」

「何の用ですか?」

ほら。ばぁちゃんめっちゃ怪しんでるよ。

だが、ミスターKYは構わずしゃべる。

「あの、今日は○○さんのお使いで来ました」

「○○の?」

「はい!」

「それにしては、ずいぶんお若いのね?」

「あ、俺達バイト先で○○さんにお世話になってて。なっ!?」

「あっ、はい!!めっちゃお世話になってます!」

・・・俺のバカ。

また嘘ついちゃったよ。

ってか○○さんて誰だよ?

「あの、それで、これを渡すように言われてて」

Aは、あの包みをばぁちゃんに渡した。

「それは、○○さんからです。○○さんは忙しくて来れないので・・・あと、お父さんの法事の時、約束やぶってゴメンって言ってました。」

「あの子は元気なの?」

「はい!」

「そう・・・」

ばぁちゃんは涙をうかべていた。

帰りの電車内。

俺とAはしばらく無言だったが、俺は気になることがあった。

「A、○○さんって誰だよ?」

「お前の間の前にいるオッサンだよ」

マジか!!!

ガラガラの車内。

俺の目の前には誰もいない。

「何言ってんの?」

「今もいる」

マジかぁぁぁぁ!!!

「な・・・だって、お前、○○さんは元気だって言ってたじゃねぇかよ!」

「うん」

「本当のこと言わなくていいのかよ!?」

「うん」

「でもっ・・・」

「いいんだ」

Aは俺の前あたりを見ながら言い切った。

そして、今回のミッションは全部終わったらしい。

そっか。

今日は5月の第2日曜日。

エプロンはあのばぁちゃんへのプレゼントだったんだな。

若奥様プレイとか思ってゴメンな。

でも、あのフリフリはどうかと思うけど。

あと、もうひとつ。

「なぁ、そのオッサンが破っちゃった約束って何??」

「あ、スミマセン。それは個人情報なんで」

このヤロウ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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