短編2
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昔話

太郎のモデルとされる人がいます。

第七代孝霊天皇の子で五十狭斧彦命(いさせりひこのみこと)といいます。

百を満たすための半分まであるという名を持つ五十狭斧彦命が鬼退治に遣わされたのです。 

鬼とされた人物は温羅(うら)と言う名で、目は獣のようにギラギラ耀き毛という毛は伸び放題の人を見下ろすぐらいの巨人で、気に入らない奴は鉄釜でぐつぐつ煮て平らげてしまい住処は『鬼ノ城』と呼ばれ人々から怖れられていました。

その鬼のような温羅を退治するために五十狭斧彦命は何度も矢を放つのですが、温羅は岩をぶん投げてその矢を打ち返してしまいます。

勝負がつかないままの三回戦

五十狭斧彦命は強い弓で一度に二本の矢を放ち、その一本は温羅が投げた岩とぶつかり合い、もう一本はどういう偶然か温羅の左目を射たのです。

その射られた左目から溢れた血が川に流れ、透明な水は真っ赤に染まりました。

その真っ赤に染まった川は『血吸(ちすい)川』と呼ばれています。

右目しか見えなくなってしまった温羅は鯉に変身して血吸川に身を隠しました。五十狭斧彦命の方も負けじとウラを鵜呑みにするために鵜に化けて温羅の後を追いかけました。

倉敷市矢部にある『鯉喰神社』はこの逸話がもとになっています。

そして温羅が絶命する前に追いかけてきた五十狭斧彦命に言いました。

「わたしの名前である吉備冠者(吉備火車)をあなたに捧げたい」

ヤマトタケルが熊襲征伐に出かけた時もヤマトオグナ(もとの名前)が剣で射抜いた川上梟帥(たける)の名をもらって、ヤマトタケルになった話がありましたが、五十狭斧彦命も吉備冠者という別名を持つ温羅を倒すことで

その後“吉備津彦命”と名乗りました。

ヤマトタケルも吉備津彦命も鬼のような相手と対決し対峙(退治)した相手から名前をもらってそれ以降

自分の名前にしています。 

「この話から温羅は人肉を食べていた事がわかりますね」

先生はそう言いながら僕たちを見回して――

「脅かしすぎたかな?」

「先生、いなくなっちゃったね」

「まだ足りないよ…」

ぴちゃ ぴちゃ

くちゃ くちゃ

ガリ ガリ ガリ

ガキが輪になって遊んでいた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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