これは僕がまだ小さい頃の話です。
当時住んでいた家の近所には長家が連なっていて友達がその内の一件に住んでいたのでよく遊びにいっていました。
毎日その辺りで遊んでいたので長家の住人とも仲良くなっていて、お菓子や当時はまだ物珍しかったコーラを貰ったり可愛がってもらっていました。
長家の内の一軒は古いせいか屋根が崩れ誰も住んでいない所がありました。
危ないから入るなと言われても子供ですから秘密基地にして遊んでいました。家具で唯一残っていたのは小さいタンス一つで、中には当然何も入っていません。
ある日いつものように潰れた長家に入りこんで遊んでいた所、お婆さんが話し掛けてきました。
「童ら、どこの子か?」
すぐ近所だったからか、家の名前を言うと当時まだ生きていた曾祖母の名前がすぐにお婆さんの口から出てきました。
お婆さんと色々話す内に、お婆さんはまだこの長家に住んでいると言い出しました。
そして、何も入って無かったはずのタンスの引き出しの中からべっこう飴を取り出して僕達にくれました。
腐ってるんじゃないかと言うと、
飴は腐らん。と言ったのでそれを鵜呑みにして僕達は飴を舐めました。
飴はまぁ、普通の鼈甲飴の味でした。
お婆さんは次の日から現れなくなりましたこの長家に住んでいると言っていたのにと思い友達の親に聞くと、誰も住んでいないし、住めるはずがないと言われ、不思議に思いましたがすぐに忘れたと思います。
それから月日が経ち、大人になった僕達は久しぶりに集まり思い出話をしていました
その時に飴は腐らないという話題になり、お婆さんと鼈甲飴の事を思い出し少し盛り上がりました。
そこで親にその話をしました。
親が言うには確かに昔あの長家にお婆さんが住んでいたけど僕達が生まれる前に死んだからそれはオカシイと言われました。
しかし、僕達は本人かどうかは分かりませんが長家に住んでいると言うお婆さんと話した上に鼈甲飴を貰いました。
真相は分かりませんが、お婆さんが化けて出てきて飴をくれたと僕は信じています。
そして、この事を思い出す度に気持ちが暖かくなります。
僕は未だに飴は腐らないと思っていますが、実際はどうなのでしょうか?
駄文、怖くない話ですいません。
怖い話投稿:ホラーテラー クルミ割り人形さん
作者怖話