短編2
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ドライブの果てに

これは数年前に体験した出来事です。

当時、中古車を買ったばかりの友人に誘われ二人でドライブに出掛けたんです。

車を持っていなかった私はドライブに出掛ける前に、後部席やトランクの広さを見たり、自分の車のように色々触っていました。

ドライブに出発し数十分、町外れの田舎道を走行中に信号に引っ掛かり、停車中の出来事でした。

私の座る助手席と運転席の間から、ぬうっと男の顔が現れ、私の顔を覗き込みました。

もちろん後部座席には誰もいるはずがありません。

出発前に誰も乗っていなかったし、出発してから車はから降りたりもしてません。

誰かが乗り込む暇なんて絶対にありませんでした。

あまりの衝撃に私は車から飛び出してしまいました。

私が車から飛び出すと同時に、友人はそのまま走り去ってしまいました。

友人を置いて逃げてしまった私も悪いですが、私を置いて行った友人に腹が立ち、その友人とそれ以降連絡を取らないまま数年の時が経ちました。

向こうから連絡が来ることもなく、所詮その程度の関係だったんだと特に気にもしてなかったんですが。

昨日その友人からハガキが届いたんです。

それは結婚式の招待状で、旦那さんとのツーショットの写真つきでした。

私は今、結婚式に参加しようか悩んでいます。

友人の旦那さんの顔が、忘れたくても忘れられない、あのドライブの時に出てきた男の顔をしていたので。

怖い話投稿:ホラーテラー スパナさん  

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