かなり年下の彼とラブホテルに行くのは2回目だった。
市内の普通のラブホテル。
一瞬だが、おおい被さる彼の肩越しに、歪んだ女性の顔が浮かんで消えた。
驚いたが、それほど怖さを感じなかったので黙っていた。
4ヶ月ほどで私達は別れたが、関係はダラダラと続き、私だけの想いが取り残され強くなっていった。
昼も夜も彼の事を考えている日があった。
あるとき彼から
「どうして気持ち悪い」
とだけメールがあり、それから連絡は全く来なくなった。
私はなぜか、「あのときホテルでみた歪んだ顔は実は自分だったのでは」と思った。
彼を思うあまり、時空さえも越えて姿を見せてしまったのでは……
そして今も、彼の前に現れ続けているのか。
それから彼を思い出しそうな物は全て処分し、誰かの事を一日中考えるような恋は二度としない、と誓った。
怖い話投稿:ホラーテラー サンゴさん
作者怖話