中編4
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風呂敷おばさん

何年か前の夏。

ぼくは毎日のように地元の友だちと夜な夜な集まってはファミレスやファーストフード店でダベっていた。

別に特別なことは話さない。

下らない話をしたり、話すことがなければ携帯をいじったりボ~っとしているだけだった。

そんなある日、とある話が持ち上がった。

ぼくはいつも通り仲のいい友だち3人、計4人でハンバーガーショップでダベっていた。

その日もいつもと何も変わらず、話したりボ~っと過ごしていた。

そんな中、窓際に座って外を眺めていた友だちのAが外を指さして口を開いた。

「おい、見ろよ。風呂敷おばさんだぜ。」

しかし、ぼくたちの反応は薄かった。

風呂敷おばさんとは僕たちの住んでる街にいる、、、言ってしまえば浮浪者だ。

冬でも夏でも関係なく風呂敷なようなものを身にまとい、恐らく生活用品かなにかが入っている風呂敷を担いで独り言を喋りながら徘徊しているのだ。

この街では有名?な人だから別に驚かない。あっそう。という感じだ。

しかし、風呂敷おばさんを見てBがおもむろにつぶやいた。

「知ってるか?」

ぼうは即答した。

「うん、知ってる。」

少しの間があってからまたBが話出す。

(完全にスルーされた訳だ)

「駅の反対側からちょっと歩くと廃校があるのは知ってるだろ?」

僕たちみな頷く。

「うん、その廃校には多目的室ってのがあるらしいんだ。そして夜中の2時丁度にその多目的室から窓の外を見ると風呂敷おばさんが通り過ぎていくらしいぜ。」

「は?」

B以外の全員が言った。

話の雰囲気からてっきり怖い話かなにかかと思ってみればなんて事のない話だった。

「なんだそれ?別に2時丁度にそのへんに用事があるだけだろ?どっかのコンビニの廃棄が出るとか。」

Cがあまりに的確なことを言った。

「まーな。」

Bはそういうと何事も無かったかのように自分のジュースを飲み始めた。

それから5分くらいたったときだろうか、Aがニヤリとしながら言った。

「よし、あと1時間で2時になる・・・見に行ってみようぜ!」

いつもなら即却下なこの案だが今回は違った。

毎日毎日特にすることもなくダベっていた僕たちは、ちょっとしたスパイス、イベントが欲しかったのだ。

「あまり面白そうではないけど行くか!廃校はここから15分くらいで着くしな!」

ぼくがこう言うとみんな一斉に「おう!」と言って立ち上がった。

そしてすぐに廃校へと向かった。

アホな話だが廃校を目の前にして気づいた。

どうやって中に入ろうか。

全員が同じことを思ったのだろう、廃校を眺めてつったっている。

Cが歩き出しながら言った。

「とりあえず開くところがないか調べてみようぜ。」

そう言ってCは正面扉を引いてみた。

スッ・・・

なんとすんなり開いてしまった。

「マジかよ。」

Bが言った。

僕たちはソロソロと中に入った。

やはり夜の廃校は男4人でも不気味だ。

しかし、別に今回は肝試しとは違う。

とりあえず多目的室を探すことにことにした。

・・・

・・・・

・・・・・

時刻は1時55分。

まさかだ。多目的室がなかなか見つからずやっと見つけた時にはこんな時間になっていた。

僕たちは多目的室に入り、窓とは反対側の壁際に寄りかかりながら座って窓を見ていた。

Aがつぶやいた。

「くだらねぇ。」

ぼくが言った。

「嘘おつ。」

Cが言った。

「うーん。」

Bは黙っていた。

「・・・」

携帯をみたら1時58分になっていた。

少しだけ、鼓動が高鳴ってきた。

1時59分。

Aが言った。

「く、来るはずないよな?」

Cが答える。

「あ、あぁ。」

ぼくも答えた。

「そりゃ、そうだろ!だって・・・」

その時、窓の外から聞いたことのある声が聞こえてきた。

「・・・嘘だろ?」

Bが怯えながら言った。

しかし、声は段々と近づいてくる。

パッっと携帯をみたら丁度2時になった。

夏の暑さとは違う理由の嫌な汗が首を伝う。

声のする窓をみると窓の外左側から風呂敷おばさんが現れた。

なにかぶつぶつと独り言をつぶやきながら右の方へと歩いてゆく。

僕たちは震えながら風呂敷おばさんを見ていた。

風呂敷おばさんが丁度中間くらいまできた頃、急に歩くのも喋るのもやめ立ち止まってこっちを見た。

僕たち4人を無表情で眺めてピタっと動きが止まった。

そしてすぐにニタ~っと笑みを浮かべるとさっきよりも大きな声で何語ともとれない言葉で喋り出した。

その瞬間、僕たちは我先にと多目的室を飛び出し廊下を全力疾走で走った。

階段を2、3歩で駆け下り入ってきた正面扉から振り返ることもせずに勢いよく飛び出して逃げた。

怖い話投稿:ホラーテラー HiROさん  

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