題名はいつも、違っている

短編2
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題名はいつも、違っている

澄んだ川の中で鮎が泳ぎ、黄緑色の葉が辺りに生い茂る。

側で私は鞠つきをする。ポーンポーン…と

お気に入りの赤い着物。椛の模様が描かれている。

鞠つきを止めると、川に足を入れ、ぼんやり空を見上げる。

トンボが空を飛び、夕日が沈む…ああ、もう夜だ。

私は家に帰らない。このままだと、化けたぬきか、狼か、人殺しか…幽霊なんかも出るかもしれない。

「殺される…かねぇ」

ガサガサと聞こえると、恐竜が出て来た。思わす苦笑してしまう。

(なんで恐竜?…おかしいわぁ…)

私の格好も、周りの様子も数百年くらい前の日本。明らかに、その恐竜は背景と合ってない。そのまま、私は踏み潰された。

私は昔、自殺した。学校で虐められていたから。友達5人グループでいつも行動していて、何時の間にか2人2人私に分かれ、そのまま虐めを受けるようになった。

嫌になって、面倒で…刃物を首に向けてそのまま…

目が覚めると、綺麗な衣装を着ていた。お姫様の様な。ふかふかの椅子に座って。

振り返ると、お付きの者…とでもいうのだろうか?男性が立っていた。そのまま首をソイツに締められ、また死んだ。

その後、私は沢山の人物になった。ある時は侍、ある時は幼稚園児、ある時は王様…

そして、毎回殺される。恐竜に踏み潰された今回も…

「桜ちゃんは、残酷なお話を良く書くのね」

先生に今日も書いた話を見せると、苦笑いされた。

私は、いつか小説家を目指して、こうやってノートに毎日お話を書いてる。

「そういう話書くの好きだから…幸せな話は嫌いなの。でもね、おばあちゃんにこの前ノート見せたら、このノートには魂が宿ってるって言われたんだよっ」

「本当?」

「うん。何でなんだろ…良く物に魂が宿るっていうけど、どこから来るんだろうね?」

「さぁ…でも、そのノートは大切にしないとね。もう、最後のページだけど。使った後もね」

「うん!」

イライラする、会話の内容が聞こえてきた。ああ、そういう事か…

ガキのノートに閉じ込められる、これが自殺した私に与えられた罰なんだろう。

ガキが、最後のページを書き終えた時、私はどうなるんだろう。同じ事が繰り返される?それか…他のガキの小説の主人公になるかもしれない。

でも…きっと、不幸な主人公なんだろう。

辛いとはそんなに思わない。

ただ、面倒なだけ。虐められたあの頃と同じだ…

怖い話投稿:ホラーテラー カルトさん  

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