長編9
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トンネルの幽霊 模倣作

これは、オオカミ少年さん 2011/05/08 17:12の投稿作品、「トンネルの幽霊」を元に作っています。ご本人の許可は取っていない点は心苦しいのですが、こんなことができるのもこのサイトの良い所かなと思い掲載致します。

その目的は、この作品が多くの人が言うように、投稿主を追い出すほどの身も蓋もないクソ作品なのか、それとも少しテコ入れすれば変化する可能性を秘めたものなのか証明することです。

とは言え、あくまで余興なのでそんなに期待されても困りますが…。

※※※※※※※※※※※※※※※※

「どうもあそこのトンネルは何か出るらしい」

そんな噂を、俺は今年も何度か耳にした。

隣町にある○○トンネル。

そうは言っても、俺は心霊の類を信じる方ではないし、怖がる方でもないから、あまり興味は無い。

しかし、トンネルに関する幽霊の噂は絶える気配がなく、何年も前から夏場になると決まって、同じような話を聞かされるのが恒例となっていた。

「おい、谷川。あそこのトンネル、また出たらしいぜー。この前、A組の白石とかが何人かで行ったらしいんだけど、やっぱり出たんだって」

今年何度目かにそんなトンネルの怪談話をしてきたのは、同じクラスの田中だった。

田中はさもビッグニュースであるかのように、息巻いて話しかけてきた。

「出たって、何が?」

返ってくる答えは分かっていたが、俺は義理で話に乗ってやった。

「決まってるだろ、幽霊だよ! 出たんだよ。やっぱりあそこいるんだよ!」

やっぱりその話か。俺は拍子抜けしながらも話を続けた。

「馬鹿馬鹿しい。白石ってあの頭悪そうな奴だろ。嘘つきで有名だろ」

「嘘つき? そんな話聞いたことねぇよ!他にも一緒に行った奴いるんだぜ。みんな見たって言ってるんだよ!」

田中はあくまで白石の話を信じているらしい。

「そんなの馬鹿の作り話に決まってるだろ。馬鹿に限ってそういう話よく作るんだ」

「……」

俺の返答に対し、田中は急にうつむき静かになった。

あまりにも愛想なくボロクソに言い過ぎたか、もっと興味深げに話に乗るべきだったか、俺は少し反省した。

「そうだ!」

しょげているかと思っていた田中の力強い声に、俺は少し動揺した。

田中は下を向いたまま、不敵な笑みを浮かべた。

そして顔を上げて俺の目を見ると、生き生きとこう話した。

「行こうぜ、俺らも。幽霊見ようぜ」

その思ってもみなかった馬鹿げたセリフに、俺は呆れ果てた。

こいつは人の話を聞いていなかったのか。

これだけ否定したのに、まだ幽霊の存在を信じて疑わないのか。

田中はキラキラとした純粋な眼差しをこちらに向けていた。

くだらないことに巻き込まれてウンザリしていた俺は、その誘いをどう断ろうかと考えを巡らせた。

その時、あるアイデアが浮かんだ。これは楽しくなりそうだぞ。

「わかった、行くよ。その代わり条件がある」

「何だよ、条件って」

「伊藤も誘おうぜ」

「伊藤?」

最初訝しげであった田中も、俺の心中を悟ったようだ。

「そいつは、いいねえ」

俺たちは伊藤に視線を移した。

誰とつるむ訳ではなく、一人ぽつんと席に座る伊藤は俯いて机をじぃっと凝視していた。

俺達の視線に気がついたのか、伊藤はオドオドと顔を上げると俺達に向かって愛想笑いをした。

チッ

俺は露骨に舌打ちをした。奴の愛想笑いはマジイラつく。

だいたい奴の陰気さは生理的に無理だったので、事あるごとにからかったり、罵倒したりしたのだが、その度に奴はその愛想笑いを俺に向ける。

その目を見るたびに虫酸が走るのだ。この際、ケリを付ける。二度と俺の顔を見られないぐらいの恐怖を味あわせてやる。

俺はムカつく気持ちを抑えながら伊藤に近づくと、その肝試しに誘った。

伊藤はうんざりするぐらいキョドっていたが、俺が強引に誘うと最後にはお決まりの愛想笑いを見せた。

週末の夜、俺らは懐中電灯を片手に集まった。

3人では心細いという田中の気持ちに配慮して、各々何人かに声を掛けた。

結局集まったのは5人だ。

俺と田中以外には、伊藤と、残りは田中のプロレスファン仲間の石田と山本だった。

伊藤は俺に誘われて半ば無理やり連れて来られたような形だったが、石田と山本は乗り気で参加しているようで、初めから少し浮かれていた。

「あの、平気ですよね?」

集合場所の駅から歩いてトンネルへ向かう途中、俺と田中の後ろを歩いていた伊藤が言った。

こいつ、珍しくしゃべってやがる。

無理やり連れて来られたことへの抵抗か、それとも生意気にテンションあがってんのか。

「何がだよ?」

田中が黙っていたので、俺が答えた。

「その、幽霊…。まさか本当にいないよね?」

「幽霊なんているわけないだろ」

俺は素直にそう答えながら、伊藤の様子を見て、伊藤がビビッていることに気がついた。

これでこいつを懲らしめる布石は整ったわけだ。

隣を歩いていた田中もそれを察知したのか、

「いや、出るって。マジ出るらしいよ……」

と、深刻そうに呟いた。

それを聞いてすかさず俺も、

「まあ、可能性はゼロでは無いかもな……」

と、話を合わせた。

しかし誤算だったのは、それ以降、伊藤が無口になってしまったことだ。

幾ら話しかけても、幽霊の存在を否定しても無駄だった。

伊藤の怯える様子を楽しもうと思っていたのに、これでは面白みがない。

俺は仕方なく田中と2人で歩き、田中の友達の石田と山本は、じゃれ合いながら後ろを歩いた。

伊藤は俺の斜め後ろに寄り添うようについて来る。

まったく、寒気がするが、もう少しの辛抱だ。

トンネルは思ったよりも不気味だった。

元々ここら一帯は山を削って出来たようで、目の前にはその残りと思われる丘があり、丘の表面には木々が鬱蒼と生い茂っている。

丘の中央にはポッカリと穴が口を開けていて、それが俺らが今入ろうとしているトンネルだ。

それ程長い距離ではなかったはずだが、暗いせいか反対側は全く見えなかった。

トンネル内に電灯は一つも無いらしく、手前にある申しわけ程度の外灯と、この懐中電灯が無ければ、一帯は全くの暗闇となる。

いつの間にか誰もが無口になっていた。

元々黙り込んでいた伊藤以外の、お調子者らしい石田と山本でさえ、一言も話さずに立ち尽くしていた。

「それじゃ、行こうか」

自分で言って驚いた。

幽霊なんて信じない、そういうキャラが染み付いていたのか、俺はまだ自分でも心の準備ができていなかったのに、自然と思わぬことが口に出てしまった。

「お、おい。待てよ」

田中が後ろから声を掛けた。

どうやら「幽霊信じないキャラ」は体にも染み付いていたらしく、俺の足は勝手に前へ前へと動き出した。

その足は止まらず、俺を先頭に、5人は闇の中へと入って行った。

トンネルの中は意外と騒々しかった。

ゴオォ、ゴオォと、空気の流れが反響していた。

4人分の足音と息遣いが、後ろから聞こえていた。

誰もがただひたすらに歩き、一言も言葉を発しなかった。

皆が足元を照らし、下を見ながら歩いているようだった。

誰も後ろを振り向かず、前を照らすこともなく、ただこの闇を抜けるのを、足元を見ながらじっと耐えているように思われた。

トンネルもほぼ中央に差し掛かった所で、俺は田中達と歩調を揃えた。

俺の隣に田中、その隣に石田と山本。伊藤は相変わらず俺の斜め後ろから一人ついて来る形になった。

俺は、肘で小突いて田中に合図を送る。田中は小さく咳払いをする。準備完了だ。

「出たぁっ!」

突然、田中の奇声が響き渡った。

それを合図に俺は振り向き、伊藤を思い切り突き飛ばす。

「走れ!」

俺達4人は一目散に今来た道を引き返した。伊藤が追ってくる気配はない。

ざまあ見ろ。

笑いがこみ上げてきた。俺の笑い声がこだまする。つられて田中が笑った。

笑い声が反響しあってよく分からなかったが、おそらくは石田と山本も笑っていたに違いない。

入り口の光がだいぶ大きくなった頃、俺はある違和感を覚えた。

伊藤の声が何も聞こえてこないのだ。泣き声も、喚き声も、何もない。

俺は速度を緩め、立ち止まると振り返り、暗闇に向かい耳を澄ませた。

田中らも立ち止まると、俺に駆け寄り言った。

「おい谷川、どうした?」

「シッ」

俺はまわりを制し、更に耳をそばだてる。暗闇からは、ゴオォ、ゴオォと、空気の流れる音しか聞こえてこない。

「あいつ、大丈夫か?」

俺が呟いた直後

ぅわああぁん

人の呻き声とも、獣の遠吠えともとれるくぐもった声が、微かに暗闇に響き渡った。

俺達は顔を見合わせた。

僅かに見えるその表情は皆、強ばっていた。

「おい」

少しの沈黙の後、俺は入口方向にアゴを振り、皆を促した。

取り敢えずはここを早く出て、トンネルの外で伊藤を待つことにした。

道端にしゃがみこんだ俺達は、込み上げる不安をヒタ隠すように伊藤の悪口で盛り上がった。

俺も、これまでの憂さを晴らすかのように喋りまくった。

しかし30分足らずで話は途切れ、抑えきれない不安はたちまち俺たちを包みこんでしまった。

1時間過ぎても、伊藤は戻ってこない。

そして、伊藤が再びトンネルから出てくることは無かった。

それから3年の月日は過ぎ、俺達は高校生になった。

俺は、地元のバカ学校に進んだ。田中達は皆私立に行き、あの時のメンバーとの交流は途絶えてしまった。

伊藤の行方はまだ分からない。警察が今でも捜査を続けているとは思えない。駅前でビラを撒いたり、必死に行方を追っていた伊藤の母親は去年亡くなった。

彼の父親に会ったのは中学の卒業式の日。無視して通りすぎようとする俺に、声を掛けてきた。憔悴しきった顔に無理やり笑みを浮かべて。

「谷川君、だよね。息子からよく話は聞いているよ。仲良くしてくれているそうだね。ありがとう」

伊藤よ、やっぱりお前は俺を恨んでいるのか。当然だよな。俺は気付いていた、お前が俺を好いていたことを。でも当時の俺はクラスでハブにされてるお前と仲良くするわけにはいかなかった。あの夜のことを口止めしたのも、お前とつるんでいた事を知られるのが一番嫌だったんだ。酷い奴だろ。俺はお前の顔が、その視線が、頭から離れない。なあ伊藤よ、満足か?

「なあ、谷川。相変わらずボーッとしてんな、お前」

声を掛けてきたのは、高校で知り合った鈴木だった。

「何の用だよ」

「そう邪険にすんなよ。それよりあのトンネル、また出たらしいぜぇ」

「出たって何が?」

答えは分かりきっていたが、義理で話に乗ってやる。

「何がって、決まってるだろ! 伊藤の幽霊だよ!」

やっぱりその話か。伊藤よ、今じゃお前は地元の有名人だ。俺は拍子抜けしながらも話を続けた。

「そんなの馬鹿の作り話に決まってるだろ。馬鹿に限ってそういう話よく作るんだ」

鈴木は俺の言葉に気分を害したのか、口を尖らせながら、話を絡めてくる。

「谷川さあ、お前中学の時、伊藤と同じクラスだったんだろ。何か知んねえのかよ」

俺は立ち上がると、鈴木の顔に指を突きつけ言った。

「いい加減にしろ、俺は何にも知らないし、伊藤がトンネルに出るはず無いだろ!そんなクソ話、二度と俺の前でするな!」

鈴木は白けた眼で俺を見ていたが、やがて俺の元を去った。

何と言われようと、そんな話は信じられない。

なぜならそいつは、あの日以来ずーっと、俺の斜め後ろに寄り添っているからだ…

※※※※※※※※※※※※※※※※

オオカミ少年さん、如何ですか。

もしこの投稿が糞味噌に叩かれたとしても、そんなの平気の平左で投稿する厚顔無恥野郎もいるって事を知って下さい。

仮にもし某かの評価が頂けたとすれば、もともと話のお膳立てはできていた証拠なのだから、元ネタとこのネタの間にさほど大きな隔たりは無いってことです。

オオカミ少年さんの文と向き合って感じたのは、文章はかなり気を使っているなぁということ。細かい伏線も丁寧に張っているし。

だから「投稿は控えます」なんて言って、見捨てないで下さいよ。是非また投稿して下さい。

読者諸君の中には、当然これより面白いオチを考える人は幾らでもいるでしょ。我こそはと思う人は是非後に続いてください。

あ、また原作者に許可も取らずにこんなこと言ったら叱られちゃうな。どうだろうね、オオカミ少年さん?

怖い話投稿:ホラーテラー 何さん  

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