ーネットユーザーの戦いー4

中編6
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ーネットユーザーの戦いー4

人気のない田んぼ道。

そこに一人のじじいがいた。

歩いている俺を酷い目つきで睨みつけている。

なぜこんなに睨まれなければならないのか謎だった。

小さい頃からろくな育ち方をしていないんだろう。

何もしていない俺を、これだけの酷い目つきで睨みつけるくらいだから、きっと目が合う人々全てを睨みつけて生きてきたんだろうと感じた。

いやなぜかそれで納得してしまった。

俺はじじいがあまりにも睨みつけてくるので、すれ違う時に足を止め、質問した。

「どうかしましたか?」

すると

「黙れ」

と一言だけ返事が。

性格悪!

「じじ・・・あ・・おじいちゃんなんで怒ってるの?」

「ひゃまれ!」

今度は怒鳴ってきたが、抜け落ちた前歯から空気が漏れていまいち迫力がない。

黙れと言いたいのはよく伝わってきた。

俺は全然かわいくないじじいを少し睨んで再び歩き始めた。

しばらく歩いた時だ。

トン

痛!

何事かと後ろを振り向いた俺の視線の先にはあのじじいがいた。

その手にはエアガンが握られている。

あのじじいどういうつもりだ?

じじいは笑っている。

ふざけんなよ!

「糞じじい痛ぇだろうが!」

「ひゃまれ」

そう言って、再びじじいは撃ってきた。

なんで撃ってくるんだよ!

さっき俺が睨んだのが気にくわなかったのか

でも先に睨んだのはあのじじいだぞ。

俺は持っていたエアガンで反撃した。

双方の距離は約50m。

迫力の迫の字もない、低レベルな戦闘が始まった。

じじいは意外と身軽で、俺の撃つ弾を避けている。

俺も負けずに応戦。

しばらく撃ち合いをしていると、じじいの撃ってき弾が俺の足下の石を砕いた。

ん?

俺は気がついた。

じじいの撃ってきている弾が、知らぬ間に実弾に変わっていた事に。

シュン!シュン!

危ね!

弾丸が俺の頭すれすれを通過する。

じじいの手元を見ると、おかしな事に気がついた。

さっき持っていたエアガンと全く同じモデルだ。

どういう事だ?

エアガンなのに実弾を発射するなんてありえない。

じゃあ持っていたエアガンと同じモデルの実銃を使っているとしか。

だが同じモデルのエアガンと実銃を所持しているのは、何か変だ。

「じじい!実銃使うのは卑怯だぞ!エアガンに変えろ!」

「嫌じゃ!無駄な魔力は使わんわい!」

は?

魔力?

「じじい魔力とかあるわけないだろ!馬鹿か!」

俺は笑いを我慢しながら言った。

「じゃあわしの魔力を見せてやろう!」

じじいが両手を左右に広げて、短い呪文を唱えた。

その時だった。

空からものすごい雷鳴と共に、雷が落ちて来た。

やば!

俺は雷を間一髪で避ける事に成功。

死ぬところだった。

「ははひゃ!どうじゃわしのサンダガは!」

相変わらず前歯から空気が漏れている。

それにしても驚いた。

まさかこんな事が・・・魔法が実在するなんて。

俺はこれでは勝ち目がないと思い、バッグからPCを取り出し、ある大型BBSにアクセスした。

2ちゃんねるだ。

俺は2ちゃんねら~と呼ばれる2ちゃんねる住民に参戦するよう呼びかけた。

すると多数のレスが書き込まれた。

「やるお!」

「場所は?」

「はぁ?魔法?馬鹿みたい。みんな相手にしちゃダメダメよ。まあ行くけど」

「家にロケット砲あるから入れてくれお!」

俺はレスした全員に場所を教えて、最後によろしくとだけ書き、PCを閉じた。

10分後、先ほどの2ちゃんねら~全員が集まった。

俺はその全てを仲間に入れた。

「よろしくお」

「あのじじいが魔法を使うっていうの?あんた馬鹿でしょ」

「ロケット砲持ってきたお」

「ああよろしく。まあ見てろってあのじじいが魔法使うところを」

「仲間を呼びやがってこざかしいわい!わしの自慢の魔法、デジョンをくらうがいい」

するとじじいは再び両手を左右に広げて短い呪文を唱えた。

その時だった。

俺達は、空間に違和感を感じた。

何かがおかしい。

辺りを見回すと空中に黒い小さな球体が存在している。

ビー玉くらいのサイズだろうか。

すると田んぼの稲達が引き寄せられるように、球体に向かい傾き始めた。

俺は気がついた。

ブラックホールだ。

「やばい逃げるぞ」

「どうしてだお?」

「あれはブラックホールだ!吸い込まれたら終わりだ。異次元に飛ばされちまう!」

「おもろそうだお!」

「馬鹿か逃げるぞ!」

そう言って俺達は走りだした。

だがだんだん走るスピードが落ちてきた。

ブラックホールの膨大な重力に引き寄せられているのがわかる。

走っているのに歩いているスピードと変わらなくなってきた。

「もうダメだお!死ぬお!」

「まだ諦めるのは早い!ここはまだブラックホールのエルゴ領域だ。脱出は可能だ!事象の地平面より内部に吸い込まれる前に逃げるんだ!」

「事象の地平面ってやつより奥に吸い込まれたらどうなるんだお?」

「光すら出て来れない!」

「お」

「あんたの言った通り、魔法が実在するって事はわかったから早く逃げよう」

俺達は必死で走った。

だがどんどん引き寄せられていく。

もうダメだと思ったその時だ。

「うひゃ~~」

じじいの悲鳴が聞こえた。

突然、俺達の走るスピードが上がった。

なんだ?

振り返る俺達。

ブラックホールが消えていた。

一瞬状況が把握できなかったが、ようやく理解した。

じじい自身がブラックホールに吸い込まれてしまったのだ。

俺達が逃げる姿が面白くて、自らにブラックホールの重力が迫っている事を忘れていたのだ。

魔法を取り消せばよかったのだろうが、重力に引き寄せられてパニックになったのだろう。

そのまま異次元に消えてしまった。

俺達はおかしくて全員笑いあった。

その瞬間、BGMが流れた。

パパパパーンパーンパーンパッパパーン

なぜかFFの戦闘勝利のBGMだ。

じじい・ケフカ・パラッツオをたおした。

全員10000の経験値を貰った。

俺以外、全員レベルが1上がった。

俺達はしばらく田んぼくらいで寝っ転がって話しをした。

ブラックホールのあった辺りを見ると、田んぼに大きな半球状の穴が空いている。

田んぼの土壌がブラックホールに吸い込まれたからだ。

「魔法がまさか本当にあるとはね。あんたの言ってた事信じる」

「魔法初めて見たお!すごい」

「だお」

そんな会話を俺達は日が暮れるまで続けていた。

今回の件で田んぼに空いた美し過ぎるほど綺麗な半球状の穴が、ミステリーサークルの類ではないかと、世界中で議論になった。

真相を知るのは俺を含むあの時のメンバーだけである。

ブラックホールの話で「異次元に飛ばされる」とありましたが、これは理論上の話ですので、真実かどうかはわかりません。もう一つの理論としては、吸い込まれた物質は、分子レベルまで分解され、ブラックホールの質量に変換されるともあります。

多分他にもあると思います。

あと、エルゴ領域についてですが、理論上はエルゴ領域に入った物質は、ブラックホールの周りを円を描くように回り始めるそうですが、もしも今回、エルゴ領域に入った主人公達がブラックホールの周りを回り始めたら、ストーリーを進行させにくくなると思った為、それについては抑えて書かせて頂きました。

事の話におけるブラックホールについては、このように抑えて書かせて頂いたところがいくつかあります。

以上。

読んで頂きありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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