中編3
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植松さん

私の大学時代の先輩の話です。

その先輩は植松さんと言って、運動神経抜群で性格も優しく、誰からも好かれる先輩でした。

冗談を言うことも好きで、よく後輩の女の子をびっくりさせては笑っていました。

その植松さんは自称、霊感の持ち主でしたが、それはみんなまともに取っている人は居ませんでした。

「おまえの後ろに老婆がいる!」

「あそこの家の窓に自殺した人の霊が立ってる。」

日常からこんなことを言う先輩でした。

またまた御冗談をー。といつも僕らが返すと先輩は本当なんだよーと笑っていました。

もう定番というか、ダチョウ倶楽部の上島さんのモチネタみたいな扱いでした。

そんなある日少しぞっとすることが起きました。

サークルの夏合宿で山梨県に行った時です。

写真が撮れるような絶景のポイントについた時でした。

フェンスの向こうはガケという場所です。どんな観光客もフェンスに寄りかかってガケを背にして写真をとっていました。

その場には植松さんふくめた私たち5人のグループとあと3組位あいました。

20mほど離れたグループを植松さんがずっとみていたので

「タイプの子でもいたんすか?」

と聞いてみると

「いやー、なんか写真取られてるあの男の子の目の前に女の人が立ってるんだよねー。」

当然僕らには見えません。というよりいつものネタだろ?という感じでした。

けどいつもの植松さんと違って、なんか危ない気がするなー、とずっと呟いていました。

気にもとめずに写真撮影を始めましたが、植松さんはずっと気にかけていました。

「危ない」

植松さんがいきなり声をあげました。

私は植松さんが見ている方角を見てみると僕らと年も変わらなそうな男の子が、エビ反りの格好でフェンスの向こうへ落ちていく瞬間でした。

それからは警察が来て事情聴取が始まり、あちらのグループも警察も急に声を上げた先輩を疑ったりと大変な騒ぎになりました。

被害者との接点もなかったことから、疑いもどうやら晴れたらしくその事件は事故として処理されたようです。

植松さんは夏休みの間は警察に色々と聞かれたり大変だったようですが、一段落ついたああとに先輩から、その時の話を再び聞くと

「みんな信じてくれなかったけどね、落ちた子の目の前にいた女の人が男の子を突き飛ばしたんだよね。落ちたの確認したら満足そうな顔でしゅーって消えちゃったけど。なんか恨み言でもあったのかね?」

実際事故を目の前で見ているので偶然だとも言い切れないことが怖かったです。

なにがって、そうすると今まで植松さんが言ってた霊的な話は本当のことかもしれないと思ったからです。

思い出すと植松さんが始めて僕の部屋に遊びに来た時に言ったのが

「佐々木君は毎日女の人とシャワー浴びれていいね!」

でした。風呂上がりのビールを飲みながらそんなこと言ってくる先輩を思い出した時、一人暮らしのあの部屋に戻りたくないと心底思いました。

卒業して1年経ちますがいい思い出です。

植松さんは、心霊ルポライターになる!と言って僕らと同じ年に卒業しましたが先日電話が来ました。

「やっぱりこういうのは飯のネタにしちゃいけないのかな。色々憑いてきちゃって取り殺されちゃうかもなー。ははは。」

と笑っていましたが、何か不幸が起きなければいいと今でも思っています。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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