中編2
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赤子

あれを見たのは去年の今頃。

会社の出向先に新人が配属されて来たんで、

週末だし、皆で飲もうやってことで

元々現場にいたオッサン4人、新人の新卒者2人(男女1人づつ)連れて恵比寿で飲み会した帰り。

自分の業種は技術職で、総務を除いては女性は滅多に入ってこない。

50人規模の会社だが、当時は女性はこの新卒のコ入れても2人。

(以降この新卒のコはAちゃんとする)

もう1人の女性は40近いので、自然と会社ではAちゃんはアイドル的存在になっていた。

清楚な顔立ち、スタイルも良く、カラーを入れた風でもない黒いストレートはオッサンには抜群に好印象だったからだ。

飲み会はなかなか盛り上がり、それなりに楽しい時間だったが、

1人が、やたらと田舎に家建てちまって、

こっから2時間かかるような距離だし、もう終電が危ないということで10時前には帰り、

なし崩しで10時過ぎには解散になった。

自分は他の面子とは違う電車で、残りは方角は違えど同じホームにいたと思う。

皆でAちゃんを囲み、わいわいと楽しそうにしていた。

いい大人が酔っ払って女の子に絡むのは恥ずかしいよなぁ。落ちるなよ。なんて思いながら、その光景を見ていると、

ぽとっ。

何かがAちゃんの足元に落ちたのが見えた。

荷物でも落としたかな?でも、周りの奴ら含め皆気がつかない。

まぁ、声かければ聞こえない距離じゃないし、おーい、何か落ちたよと叫ぼうとした瞬間。

ぼとっ。

また何か落ちた。

今度はさっきのより一回か二回り程度大きい。

黒光りするそれは、両手のひらに収まるくらいの大きさで、

何やら動いているように見えた。

おかしい。

何で皆気がつかない?

よく見ると、最初に落ちたソレも、ゆっくりとだが動いている。

何かを探すみたいに、Aちゃんの足元をゆっくり、ゆっくりと。

赤ん坊…?

人の形など成していない。黒いソレらの動きは、まるでハイハイをしている赤ん坊。

気がついた途端、自分は堪えられなくなり便所に駆け出していた。

やっと落ち着き、ホームに戻ると、皆もう電車に乗ってそれぞれ帰ったようで、

そこには何も残っていなかった。

あの赤ん坊がどこに行ったのかも、自分にはわからない。

ただ、あの後オッサン仲間の一人がAちゃんに告白したらしい。

浮かれた様子でどうしたもんかと投げかけてきたので、

やめとけ。

としか言えなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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