短編2
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洋館の思い出

もう、20年以上前の話です。

5年生の時、共に下校していた友人が不意に言いました。

「この道をずっと行くと、洋館があったの」

「え?羊羮?」

私はトンチンカンに聞き返しました。

「違うよ!洋館だよ!今〇〇ストアーがある辺り…前は全然違ったの。知らないの?」

私は1年生の時引っ越して来たのだから、そんな事は知りません。〇〇ストアーは越してきた時からそこにあったのです。

「とにかく!」

彼女は続けました。その内容はー

幼稚園から帰った当時4歳の彼女は、“この道を行くと何があるんだろう?”と何故か思い、1人歩いて行ったそうです。

そうして、気が付いたらその洋館の前まで来ていました。

彼女は何故か、その家が気になったのです。

門からそっと覗き込むと、

『入っていらっしゃい』

中から声が聞こえたそうです。

不思議と恐怖心は無く、彼女はドアを開けて中に入りました。

と…奥の部屋から物音が聞こえます。

その部屋にはミシンがあり、髪の長い女の人がミシンに向かっていたそうです。

『…』

彼女が入口でつっ立っていると、その女性はいきなり彼女の方に向き直り、自分の指にミシン針を突き刺してみせました。

「完全に突き通してたんだよね…」

彼女はびっくりしましたが、女性は全く表情を変えなかったそうです。

女性は再度ミシンに向かい、縫い物を続けました。

それで彼女も、さっきの物音が足踏みミシンの音だったと気付いたのです。

『もうすぐ出来上がるの。もうすぐ…』

女性は唄うように呟きました。

『出来たわ』

やがてそう言うと、女性は彼女に完成した物を見せました。

それは、ちょっとくすんだ感じのする、白い着物でした。

『やっと出来たわ。フフフ』女性は嬉しそうに笑っていました。

その後、女性は彼女にリンゴを剥いてくれたそうです。そのリンゴが、

「ものすごく美味しかったんだよね~」

私は感心して彼女の話を聞いていました。

その洋館に行ったのはその時一度だけだったそうで、気付いたら〇〇ストアーになっていた…とか。

“着物”というのは、今考えると経帷子だったのではないでしょうか。

どう思われますか?この話。

たとえ作り話だとしても、小学5年生にしては良く出来てると思うんですが。

何より、そんな昔聞いた話を未だに克明に覚えてる、自分が何か嫌です。

怖い話投稿:ホラーテラー おみつさん  

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