短編2
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死神

俺は死神。

俺の仕事は、所謂死者のお出迎えってやつ。

まーこういう仕事をしてると人間っつーのはいかに適当で一時の感情に流されやすいか嫌というほど分かる。

今夜もあるじいさんのお出迎えだ。

このじいさんは、長男の息子夫婦と同居している。

3年前に嫁であるばあさんをなくしてからは、孤立無援の生活を送っていた。

とにかく昔気質な頑固な性格が災いして、家族からは厄介者扱いされていた。

孫ですらじいさんには寄り付かず、長男息子のよめにいたっては本人の前で、早く死ねばいいのにとかほざく始末。

そんな家庭状況の中、じいさんは死んだ。

しんだじいさんの魂は、今抜け出たばかりの肉体をぼっーとしてたったまま見つめていた。

その肉体に群がり、泣きわめく長男家族達。

おじいちゃん、ごめんねーっとか、もっとやさしくしていればごめんなさいとかわめいてやがる。

そんな状況で俺登場。

じいさんの肩に手を置く。

じいさんは驚いた表情を見せたが、すぐに俺が死神だと悟ったようだ。

こいつらが言っとることは、本心ですかな?じいさんは俺に尋ねてきた。

俺ぐらいになると人の心ぐらい読めるのは朝飯前。

本心だ。俺がそう答えるとじいさんは俺に頼みがあると言ってきやがった。

もう一度、蘇らせてほしいと。

俺はふぅーとため息をついてから、聞いた。

本当に蘇りたいのか?

じいさんは力強く首を縦にふった。

わかった。

俺はじいさんの魂を肉体にもどしてやった。

じいさんは嬉しそうに戻っていった。

泣きわめいていた家族が一転、歓喜の声に変わる。

じいちゃーん、じいちゃーん!

お養父さん、ご免なさい!

いいんじゃ、みなこれからまたよろしくの。

ここで終わればハッピーエンド、しかし現実は甘くない。

1日、2日、1週間経っても家族はじいさんの周りから離れようとはしない。

しかし3週間を過ぎた辺りから状況が変わりだした。

3ヶ月も経てば、また元通り。

おじいちゃんうるさい、早く死ねばいいのに、家族からまた厄介者扱いされ始めた。

こんなはずでは、なかったのに。。じいさんがため息をついて目を閉じた時、また3ヶ月前のあの状況に戻った。

じいさんの亡骸にしがみつき、泣きわめく長男家族達。

それをたったままぼっーと見つめるじいさん。

そして俺。

あのさー、今まで見てた3ヶ月は俺が見せてた仮想。

むやみに魂戻したりすると閻魔様に始末書かされてこってりしぼられるんだよ。

で戻してからやっぱり死なせてくれって奴多いし、めんどくせーからさ。

あくまでも仮想だから、その通りいくかわからねーけど、どうするよ。

本当に蘇りたいのか?

じいさんは力なく首を横にふった。

じゃ行くか!レッツラゴゥトゥヘェルー!

怖い話投稿:ホラーテラー アマチュアさん  

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