昔 まだ新婚の頃の出来事
十年くらい前かな。
新婚旅行って事で富士山の方に行った時の事。
金も無いし海外なんて無理で、富士山の方の旅館に行く事にしたんだけど
○○荘ってとこに予約取ってウキウキ気分で出発した。
近場のなんちゃら博物館や、猿回しを見てそれなりに楽しんだ。
さぁ旅館に行くべって事で向かったんだけど、その旅館がなかなか見つからなくて、何回も同じ場所をグルグルとして、近くにいた人に聞いたら目の前にあったw
何度も通ったはずなんだけどなー…なんて思いながらチェックインした。
部屋に通されて荷物を置き色々中を見て回った。飯を食って、さぁ風呂行くか〜って事になって
風呂が貸し切り風呂とかが無くて、男湯が2階、女湯が3階みたいな感じ
俺が出たら奥さんを迎えに行くってなってて、俺早風呂なんで風呂もそこそこにして迎えに行ったの、さすがにまだ出てなくて、ちょっとトイレに行ったの 用を足してたらなんかヒソヒソ声が聞こえるんだよね、それもすぐ隣の方から
窓を開けて見たんだけど、トイレは建物の一番端で声の聞こえた方には何も無いし‥おかしいなぁ…って少し怖くなったけど奥さんを迎えに行ったの。
濡れ髪に浴衣
おぉ… 今日は頑張るぞ! なーんて怖い気持ちもぶっ飛んだ。
さっきの事を話そうとも思ったけど、奥さんは怖い物超苦手だし、霊感なんて全く無いわけで
話したい気持ちを抑えて部屋に向かったんだ
部屋に向かう途中の壁に[屋上に展望台あります]なんて書いてあって
それ見た奥さんが
「ちょっと行ってみようよ」なんて言い出して
俺は面倒くさいなぁ…と思いながらも行く事にしたわけ
エレベーターで6階まで上がって廊下に出たんだけど、シーズンオフだからかその階は静まりかえってた 電気もうっすらとしかついてなくて廊下には赤い絨毯みたいなのが敷いてあった。
なんか怖いなぁ…って思いながら廊下を進んだら突き当たりのドアに[この先展望台]って書いてあったの、ドアを開けたら キィ… って音がして外は真っ暗 ふと左を見たら少し錆びた螺旋階段があって
「これ登るのかよ…」
奥さんは怖がりだから多分引き返すと思ったんだけど
「行ってみよ」って
なんかおかしい…
渋々階段を上がったらそこは病院の屋上みたいな感じで、全く想像してたものとは違ったんだよね
薄暗い屋上でボイラーとかが音を立ててた
奥さんが
「行こ」って言いながら嬉しそうに笑ってる
その顔が全くの別人に見えた
俺は怖くなって急いで奥さんの後を追って屋上に足を置いた瞬間
ビビビって何か電気が足から頭の先まで抜けた感じがした
慌てて奥さんの手を掴んで来た階段を駆け下りた、真っ赤な絨毯の廊下を足早に戻った。
その間も奥さんはずっと笑顔だった
エレベーターの↓ボタンを連打して早くこい!早くこい!って願った。
エレベーターに乗ってドアが閉まる間 さっき戻ってきた赤い絨毯の上を何かペタペタと歩いてくる気配を感じて怖くて泣きそうだった。
部屋に戻ると奥さんはいつも通り普通になってた
全てを話したら
「せっかくの日になんて事言うの!最悪」
って怒られた
あれから十年、子供も出来て今も幸せに暮らしてます。
もう富士山の方へは出かけたくない
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話