短編1
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黒塚

陸奥の

安達ヶ原の 黒塚に

鬼こもれりと

聞くはまことか

古い伝説というか、

言い伝えみたいな怖い話。

(多少略して書いてます)

昔、京の都に

「岩手」という名の女がおりました。

岩手には娘がおりましたが、

その子を預け

公家屋敷(くにやしき)で

姫の奉公をすることになりました。

岩手は姫をわが子のように可愛がりましたが、

姫は体が弱く

口をきくことさえできません。

思い悩んだ末、

見てもらった占い師に

岩手はこう告げられたのです…

「姫の病に効く薬は胎児の生肝しかない」

岩手は1人、

胎児の生肝を求め、

旅へ出かけました……

やがて安達ヶ原に辿り着きそこに棲みつくことにしました。

ある晩、

若い夫婦が宿を求めてやって来ました。

妻は待ち望んでいた身重の姿。

その夜のこと、

妊婦は産気づき夫は薬を求めて出かけて行きました。

岩手は妊婦の腹に出刃包丁を突き立てました。

こうして念願の胎児の生肝を手に入れたのです。

ところが息絶えた女の懐からこぼれ落ちたのは

かつてわが子に渡したお守り袋………

腹を裂いて殺した妊婦は

岩手が京に残してきた

実の娘だったのです。

あまりのショックに

岩手はその夜から

旅人を次々殺しては生肝を喰らう

鬼婆と化したのです。

数年後、紀州熊野の僧によって鬼婆は射殺されてしまったという……。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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