短編2
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「ミィツケタァ」

ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン

目を覚ますと、

わたしは電車の中にいた。

どうやら会社からの帰宅中に寝過ごしてしまったらしい。

腕時計を確認すると

23:16分。おかしな事に車内には誰もいない。

「おかしい…」

いつもならたくさんの人が乗っているはずなのに…

いまどの辺だろう、と

窓の外を見ると街灯はひとつもなく真っ暗な闇だけが広がっていた。

わたしは不安で頭がいっぱいになった。それだけじゃない。恐怖という感情すら湧きはじめていた。

急いで携帯を取り出し、私の帰りを待つ母に電話をかけようとした。

「圏外…?嘘でしょ…」

圏外?そんなはずはない…なにかがおかしい。

その時だった。

「ひっ…!?なっ、なに…」

車内の電気が切れたのだ。

ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン

それでもなお走り続けている電車。おかしい。おかしすぎる。

「…なんなのよ、こ、これ…怖い…暗い…」

なにも見えない暗闇の中、ますます恐怖心が膨れ上がった。

コツ、コツ、コツ、コツ

後ろの車両からこちらの車両に向かって歩いてくる音が微かに聞こえる。

―…誰かがいる。

ただ者ではないような気がする。少なくとも、人間ではない、なにかが近づいている。本能がわたしにそう告げている。

ガタッ

ドアが開く音がした。

コツ、コツ、コツ

わたしは両手で口を必死に覆い隠した。声が漏れないように。

この暗闇の中、見えるはずがない…そうだ…そうにきまってる…

コツ、コツ、コツ

音が近づいてくる

コツ、コツ、

心臓がバクバクなりやまない。

その時だった

車内の電気がパッとついたのだ。

私の目の前には黒くて異様な形をし血走った眼をギョロギョロさせている化け物がいた。

「ミィツケタァ」

怖い話投稿:ホラーテラー 長門は俺の嫁さん  

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