聞いた話ばかり投稿したので、今度は自分の体験です。
結構前の事です。
私は夜、ゴミを出しに行くのですが、集積所はアパートを降りた所なので、いちいち鍵はかけませんでした。
ある日、いつものようにゴミを出して戻ると、なんと隣に住む小母さんが部屋に上がりこんでいたのです。
そして、灰皿から煙草の吸殻を取りだし、私を睨みました。
「あんた、うちの旦那と寝てるだろ?」
「ええっ?!」
私はびっくりしました。
彼女は40代後半の未亡人で、旦那というのは時々訪れる50がらみの男の事らしい。
何故か、彼女は私がその男を寝取ったと思い込んでいるんです。
「この吸殻が証拠だよ!」
小母さんは吸殻を突き付けてきました。
「それは私が吸ってる煙草ですけど!」
「女がこんなゴツい煙草吸うか!」
私はハイライト・メンソールを吸っていたので、確かに吸殻はゴツいけど…でもそれが証拠って、無茶苦茶な論理です。
一体どうして、私があんなオヤジと付き合っていると妄想したのかわかりませんが、その後もずっと疑われ続けました。
ドアの前に半分に折った煙草をばら蒔かれたり、郵便物を荒らされたりと嫌がらせもされました。
堪り兼ねて、大家さんに間に入ってもらった時なんか、
「こいつが人の男に手を出したんだよ~!」
と、近所中に聞こえるような声でわめき散らされました。
彼女は元々、物静かな人だったのですが、どうも旦那が突然来なくなったせいで神経がおかしくなってしまったようでした。
だからといって、何故私が疑われたかわかりませんが。
小母さんはやがて引っ越して行きましたが、それまで本当に生きた心地がしませんでした。
以来、ちょっと部屋を出る場合でも絶対鍵をかけるようになりました。
怖い話投稿:ホラーテラー おみつさん
作者怖話