中編4
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水子の無念

初投稿になります。

ウチの家系は霊感がずば抜けてある訳でも無い。でも、霊障やら風水やら占い関連をやたら信じているタイプ(親父以外)です。そんな母が体験した話。さほど怖くはありませんが、長文になるので飽きたらすいません。

なんの変わりもないある日の夜、母はふと目が覚めた。時間はわからないいが、体が動かない。

金縛りは過去に何度かなったがその日はどこか感覚が違う。誰かが居る気配‥ふとダイニングの方に目をやった時、冷蔵庫と食器棚の間に誰かが立っているのがわかった。寝室は間仕切りなどは開けっ放しの為、居間を越えてダイニングは丁度ベッドから見える位置にある。

実体が見えたのは初めてだったらしいが何かしてくると言う感じではなかったらしい。どうやら女性の様で小柄、髪は肩より長く白い服だかを着て俯いていて表情はわからず、下半身はテーブルに遮られて見えなかった。

実家には俺の姉と姉の子供(小4、小2)が二人同居しているが、その誰でもないのは明白だった。

夢か現実か誰かもわからないまま、咄嗟に母は心の中でお経を唱えた(祖母が昔から毎日唱えていたのである程度は知っている)。

何分、何秒か定かじゃないがその白い服の女性は瞬時に消えていったらしい。そしてきっと寝ぼけていたんだと割り切って眠りについたらしのだが‥後日、あれが誰だったのかどうしても気なってしまい、世話になっている知人の神社関係だか占い師だかに相談をしにいったらしい。

その方(以下Aさんとします)はウチの家系図と父母を見て口を開いた。

Aさん「流産した事がありますね?供養しましたか?」

その言葉に母は驚いた。

母は若い頃2回流産していて、供養もしていなかった。Aさん曰く、どうやらその晩に現れた女性が水子の霊でその無念があなたに伝わり実体として見えたのではないかと‥

続けて

Aさん「お子さん、お孫さんに怪我は多くないですか?」

その言葉で母は息子である俺の話をしたらしい。

確かに俺は5才の頃から何かと怪我ばかりしていて、今現在までにガキの頃から縫う怪我は大小あるが年中。骨折や車との接触事故、両足の靭帯断裂など様々な外傷を負ってきた。

そして忘れもしない4年前‥仕事中、ベルトコンベアに左手を巻き込まれてしまった。掃除中に何故かはわからないが危険と知りつつコンベアの巻き返し部分に誤って手を入れてしまい、左腕を付根までローラーに巻き込んでしまった。

相手は停止ボタンを押さない限り止まらない機械。通常なら生身の腕など簡単に引きちぎってしまうか、仮に挟まって止まり、まして折り返しのローラー部分に逆「く」の字で完全に左脇まで喰われてしまっては簡単には抜けないはず。‥だが、パニックと激痛で意識が飛びそうな中、一瞬の力で何故か奇跡的に抜けた‥不思議に思う余裕もなく俺は病院に運ばれた。

母から後から聞いた話では、2倍に膨れあがりドス黒くなった俺の左腕はわずかな筋肉と皮だけでつながっていたらしく、骨と血管、大部分の筋肉は断裂、損失していた。切断するかつながるかは五分五分だったらしい。

機能しなくても残してほしい母の願いにより医師達の8時間以上に及ぶ手術、入院と一年間の通院、激痛のリハビリに堪えた結果、障害者となったが何とか日常困らないまでに回復した。

Aさんと母の話に戻します。

Aさん「息子さんの落ち着きがない性格だけが原因ではなく、水子の無念さや悲しみ、嫉妬などの力が多少あるようですね‥供養されてないのなら尚更。奇跡的に左腕がコンベアから抜けたのは御先祖様の力添えがあったからで、いつかは命に危険をもたらすかもしれないです」

Aさんにそう言われた母に俺は後日実家に呼び出され、あれこれ聞かれ、Aさんの言葉も聞かされた。

俺はガキの頃の怪我以外にも原因不明の頭痛に悩まされてきた事があり、部屋の四隅に盛り塩したり、荒塩を常に持たされていた事があった。今はそれが結界とか魔よけの類と理解できるが‥そういった事や幼い頃に仏壇前で読経する祖母の隣でよく手を合わせていたり、そのお陰もあり大事には至らずに済んで今まで生きてこれたのだと知った。

後日、職場や家でいきなり左腕だけが掴まれたように重くなったりしたのもあり、さすがに家族全員でお祓いにいった。俺が買ったキーホルダー型のお守りが社に入っていきなり割れるアクシデントがありながらも無事お祓いを済ませた。気のせいか、グッと上に体が持ち上がったような感覚があった。

父母は夫婦で、水子の観音様に供養を。そして俺は改めて嫁と互いの実家の墓参りをし、俺自身は妙な儀式(豆腐を自分で切って食って川に流したり清酒飲んだり)を行った。それからは目立った怪我もせず今に至る。

助けてくれた家族、医師達や友人、同僚、御先祖様に感謝をしこれからも生きていきます。長文お付き合い頂き有難うございました。

怖い話投稿:ホラーテラー ちょんぺらぽんさん  

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