一人暮らしをしていた去年の夏の夜でした。
その夜はすごく暑かったのを覚えています。
突然、目が覚めて携帯の時計を見ると真夜中の2時を過ぎていました。
もう一度寝ようと思って、しばらくうとうとしていると、手足の先がじわじわと痺れていく感じがしました。
(あー、久しぶりに金縛り来た)
と思っていると、キーンと耳鳴りが始まり、体が完全に動かなくなりました。
いつもならそれだけで終わり、気づいたら朝になっているのですが、この時は違いました。
いきなり、体の上に何かがのしかかって来て、すごく息苦しくなったのです。
こんな事は初めてだったので、ものすごく怖くなって目を強く瞑りました。
耳鳴りもうるさいくらいに強くなり始めてきた時、何かがパンツの中に入って来た感じがしました。
ちなみに、この時はキャミソールとパンツ姿で寝ていました。
その入って来たのは多分、手のようなものだったような気がします。
そしてそれが、妙に温かかったのを覚えています。
本当にめちゃくちゃ怖くなって泣きそうになりました。
体が動かないので抵抗も出来ないし、声も出ないので、ただひたすらに目を瞑り続けていると、次は太もも辺りまでパンツを脱がされていく感じがしました。
一気に体中に鳥肌が立ちました。
すると、下半身に熱い何かを押し付けられたのです。
私は性行為の経験が無いので、それが何だったのかは分からなかったのですが、今思えば多分、男性のソレだったのかもしれません。
もう、怖すぎて心臓バクバクで、心の中で(早く消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ)と叫んでいました。
そうしたら急に息苦しく無くなり、やっと消えたと思ったら、突然若い男のような声で「こどもがほしい」と耳元で囁かれたのです。
その瞬間、体中をものすごい寒気が包みました。
怖くて怖くて、強く目を瞑りながら、また私は心の中で「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」と繰り返し必死で叫びました。
そして気が付くと、携帯の目覚ましアラームが鳴っていて、朝になっていました。
すぐに下半身を見てみましたが、体にタオルケットは掛かっているし、パンツもきちんと穿いているし、少しの違和感も感じませんでした。
その後、子供の頃に読んでいた「ぬ〜べ〜」という漫画に載っていた、淫夢魔(サキュバスとインキュバス)というのを思い出して、ああ、これがそれだったのかななんて思っていたりします。
友人にこの事を話たら、「単に、欲求不満だったからそんな夢見たんじゃない?」と言われ、恥ずかしくなりました。
でも触られた時の感触や、あの声や、体温をすごくリアルに覚えているんです。
そして今現在、私は妊娠どころか結婚の予定さえありません。
終わります。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話