中編3
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物置だった病室

19才の時に交通事故で入院した病院での出来事です。

かなり酷い事故だったので寝たきりで2ヶ月位過ごし、体を起こせる様になったので看護士さんに集中治療室から出してもらえる様に頼んでから2日後に病室を変えてもらった。

初日の夜は嫁が付き添いをしてくれた、時間も遅くなったので寝る事にした、

午前1時頃、物音に目が覚めた、看護士さんかなと思ったがどうも違う、ユニットバスの中で「コトン・コロン・コトン・コロン」と音がする、僕はまだ歩けないので確認が出来ない…

嫁を起こそうと思ったら新人看護士さんが見回りに来た。

僕は音の事が気になったので看護士さんに見てもらったが何も無いと言う…

それから音はしなかったので寝た。

次の日の朝、嫁に音の話をしたら嫁は嫁で自分の寝ていた方の壁がコンコンと音がしたと話す…

付き添い用ベッドは低い、嫁の話しによると床から50~60センチ位の高さの所で音がしていたと言う、物置にしていた部屋らしかったが集中治療室に近かったので怪しくはなかった、久々に人が入ったから湿度が変わり、音がしたんぢゃない?とか言いながらその日の夜が来た。

今日は付き添いは無い、午前0時過ぎたが寝れない、看護士さんを呼ぶためのブザ‐を押すが全く来る気配が無い…

ユニットバスの方から音が聞こえて来た…再度ブザ‐を押そうとブザ‐の方を見る、仕切りのカーテンが揺れ動いている、紐で真ん中あたりを結んである仕切りのカーテンが揺れ動いている…その様子はカーテンの下辺りを掴んでグルグルと回している感じだ、とにかくブザ‐をと押してみたが看護士さんは来ない!

何故かベッドの両サイドにブザ‐が有ったので反対側のブザ‐をと思い振り返ったら!今度はこっち側のカーテンが同じ様に揺れ動いている!とにかくブザ‐を押すが反応は無い!

汗は出る!

とにかく体を起こしてみた!

するとベッドの周りにベッドの高さで視線を感じる!

逃げ出す事も出来ないまま座ったままで居た…何故か声が聞こえて来た…

「が・ん・ば・っ・て…ぼ・く・の・ぶ・ん・ま・で・が・ん・ば・っ・て」!?

そんな言葉がどんどん聞こえて来る…

子供!?数人の子供がベッドを囲んで僕に声をかけているみたいだ…涙が溢れ出てきた…

両脚切断の可能性大の僕は「わかった頑張るよお前等の分まで頑張るよ」と心の中で叫んだまでは覚えているが…気が付いたら朝だった…

朝になって看護士さん達に話した…

ベテラン看護士さんが苦笑いしながら話し出す…

話によるとそこは、かなり前にはその病院唯一の小児科の病室だったらしく、看護士さん達が夜中に寮に帰る時その病室の窓(ブラインドが閉まっている)から子供が覗いて手を振っていたり、電気が点いたままだったり(宿直の看護士に消す様に言って看護士が部屋に行っても点いてなかったり)

薬剤で拭いても拭いても浮き出て来る血痕が有ったり(確かに有った)とか…

思えばユニットバスからの音も石鹸を転がす様な…

嫁の聞いた音も壁を叩く音…

カーテンの揺らし方…

ベッドの周りの低い視線…

全てが小児科の病室(子供)と繋がって来た…とにかく部屋は変えてもらった…と言うより集中治療室に戻った…

色々考えたが悪い気はしなかった、むしろ「頑張ってやろう」と思った「アイツ等の分まで頑張ってやろう」と…

そぉ思うと涙が出てきた。

これが僕の体験した病院での出来事です、怖い話ぢゃなくてごめんなさい。

追伸

その後、両脚切断の危機も回避して奇跡的に回復しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 達磨王さん  

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