短編2
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差別

近所のお兄さんはすごく優しかった。

僕とたくさんあそんでくれた。

でも、お兄さんは近所に住んでいた外国人の女の子にはいつもすごく厳しい態度だった。

女の子は僕と同い年で黒髪が綺麗で少し日本人離れした顔立ちだった。

ある日、お兄さんになんであの女の子に厳しくするのか聞いてみた。

「アイツ、〇〇人だからだよ。」

よくわからなかった。

〇〇人だとなんでいけないの?と聞こうとしたけれど、お兄さんが、怖い顔をしていたから聞くのをやめて、その日は家に帰った。

次の日、その女の子とたまたま会って少し話した。

普通に良い子だった。それに可愛いかった。

僕らはその日を境にどんどん仲良くなっていった。

お兄さんは僕らのことをよく思っていなかったみたいだった。

女の子と僕の家で遊ぶ約束をした日、時間になっても女の子は来なかった。

きっと用事が出来たんだろうと思って1人で家で過ごした。

その日の夜、女の子のお母さんが僕の家に訪ねてきた。

娘が僕の家に行くと言って家を出たきり帰ってこないと言う

僕は困惑しながら家には来てないと答えた

大人達はすぐに警察に捜索届けを出した

何日か経って女の子は家の近くの川から変わり果てた姿で発見された。

女の子のお母さんは憔悴しきっていた。

周りの人はあそこの家の人は〇〇人だから娘を殺したんじゃない?とか嫌な噂をしていた。

友達が死んだことも悲しかったけれど、それ以上にあの娘の死を〇〇人だからとかそんな言葉で片づけてしまう人達のことが許せなかった。

そして、事件から1ヶ月が経った頃に遂に犯人が逮捕された。

犯人は優しかったお兄さんだった。

TVに映るお兄さんは痩せこけていて別人みたいだった。

報道番組のニュースキャスターは淡々と事件の情報を読み上げていく。

意識が無くなるまで首を絞めてから川に捨てた。

殺した動機は被害者が〇〇人だったから

「どうして…?〇〇人の何がいけないの…?」

気が付くとTVの両端を強く掴んで涙を浮かべながらつぶやいていた

「いい子だったのに…友達だったのに…〇〇人だからってなんだよ…」

「同じ人間じゃないか…」

地面に手をついて泣いた。

僕の大切な友達も優しかったお兄さんも差別っていう巨大で見えなくて氷みたいに冷たい化け物が連れて行ってしまった。

大人になった僕はいつか差別が無くなるように今日も世界中で活動している。

怖い話投稿:ホラーテラー さださましさん  

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