中編5
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親父と108つの地蔵

俺の親父は正直言って完璧だと思う

顔も一昔前なら男前と言われていただろうし、健康診断もオールA

職場では社長もふくめ、さん付けされるような人望のある親父

でも一つ不思議な事がある。

どうも出世しないと言うか、地位を望まない。

もとはかすみがせきビル?という場所で働いていたらしくそこはその当時はエリートが

集まっていたらしいことが調べてみて分かった。

別にバカにするつもりはないけど、今はなぜか大工をやっている。

母が亡くなってから、やめたらしい。

今は俺と妹を毎日遅くまでがんばりながら支えてくれている。

俺が小1年、妹が4歳の時母が亡くなったので母の顔は正直うろ覚えで

親父はよく美人でおてんばだったと言っている。

自分は母はうろ覚えだけどちらかと言えば繊細で病弱だったような気がする。

少し話はそれたけど本題はここから

ある日、なんとなくだけど親父になぜ出世のしないのかを聞いてみた。

俺「親父ってあまり出世しないよな、 なんで?」

少し黙ってから親父は

親父「もう話してもいいと思う、妹には黙っておけよ」

そう言って次のような話をしてくれた。

父の住んでいた町はそうとう田舎だったらしい。

周りは山ばっかりで、よそ者はめったにこないそんな場所だったそうで

ほかにあるといっても学校や古い寺くらい

そこで親父は育ったそうだ

他の場所から人が来ないということはみんな仲が良い、友達はもう

ほとんど家族のようなものだったそう

いつも5,6人の親友と遊んでいたそう。

遊ぶといっても秘密基地やチャンバラ、いやというほどある木を使って

なにか作るくらいしかやることがなかったらしい。

でもその一日、一日が楽しく幸せだったそう。

あのころ以上に楽しい時はもうこないとしみじみ言っていた。

さっき、寺があると書いたけど、そこにはたくさんの地蔵があるらしい。

それも108つちょうど、

中心にでかい地蔵がありその周りに中くらいの地蔵、そしてさらにそのまわりに

小さい地蔵がある。それぞれの地蔵には必ずなにか書いてあったそう

簡単に言えばでかい地蔵の周りに八角形に地蔵がとりかこんでいると考えてほしい。

地蔵はみんな規則正しく外側を向いていてしかも小さい地蔵は二、三個こわれていて

当時は怖かったらしい。

怖かった理由はそれだけじゃなく、その108つの地蔵には言い伝えがあったらしい。

ある日、欲望の塊のような人間がやってきた。

そいつは食いたい時に食い、寝たい時に寝、女がほしければ手当たりしだいに襲う

困った村の人は当時の寺にいた坊さんにその男をどうにかしてほしいとお願いした

あまりにも欲望が強かったためその欲の1つ、1つを地蔵に封じたとか

欲のなくなったその男は死んだ、なにも感じず

まあありがちな話だか親父が子供のころはそうとう怖かったらしく

さらに大人達はみんな異常なほど怖がらせてきたそうだ。

寄るなと言わんばかりに

ただもうそんなのも怖くなくなってくる年になると思ったそうだ。

そんなのウソだと、ならたしかめていくかと、

仲が良い奴ら五、六人を引き連れ、その寺に肝試しに行ったらしい。

親父はそんなの地蔵とかは、当時好きだった女子の気を引きたいだけだった

それだけだと友達に冷やかされるからばれないように他の女子も連れて

当時は懐中電灯なんてないしみんなろうそくをもって思い思いの武器をもって、

寺に集まったそう

斧、木刀、竹の槍、を持った自分たちならなんでもできるとわくわくしてたそうだ。

そして地蔵のところへ向かった。

普段遠くから見ている地蔵の近くにいくと思ったより大きく、そしてろうそくのせいで

さらに怖く見えたと、でも親父は好きな子にいいところを見せるためわざと

親父「全然怖くねーよ、なんだこんなもん」

と小さい地蔵の頭を蹴った

すると思ったよりもろく、頭はすぐ壊れた。

親父はやっちまったというより、どこかどーでもいいような感覚になったそう

ふと仲間を見ると仲間の顔は妙に怖く、うずうずした感じだったという

当時好きだった子も。

その時、仲間の1人が

「壊そうぜ、地蔵」

その掛け声でみんな狂ったように地蔵を壊し始めた

ガギ、ドン、ゴガ、といった何かをなぐっているような生々しい音だけが、

暗い中、鳴り続けみな地蔵を壊し続ける

そしてみんなも突然どーでもいいような無気力な無表情になり手が止まる。

でも頭の中でずっと「壊せ、壊せ」と言われているような感覚

でも体が動かない。

そこでただみんなぼーっとしてそのまま朝になったそう。

当時好きだった子は中心のでかい地蔵の目をジーとみてたそうだが、

そして朝になりその寺の人に見つかった。

親父はその時なにもかもどうでもいいような気がしてよく覚えてないが

寺の坊さんに

「壊したのか?おい?大丈夫か?」

と延々と言われ、たくさんの人に囲まれ心配されていたのは覚えていると・・・・

その後はどーでもいいような感覚はなくなり

その仲間も普通に戻ったという、ただ遊ぶのがすくなくなったり、急にやせたりと

仲間が妙に変わったこと以外は

みんなそのまま中学生になり、高校に行くためみんなとはちりぢりになった。

親父はなぜか成績優秀になったそうだ。

そして今にいたると

俺は正直意味が分からなかった。

俺「それと親父の出世しないこと関係ないじゃん」

親父は言った

「今になって思うことであくまで俺の考えだがその地蔵の力は本当に強くて、

欲望の塊と言われた奴でも一瞬で欲がなるくらいつまりたぶん地蔵を壊したことで

自分の欲、つまり俺の場合出世に関係する地蔵を壊したことでその欲をとられたのだと

思う。」

「俺は1個しか壊してないけど友達はかなり壊してしまった。急に痩せた奴はたぶん

食べる事に関する欲の地蔵を壊したんだと思う。」

「当時好きだった子はおてんばで元気だったのに、急におとなしくなってしかも

目にクマができるようになったたぶんその子は寝ることに関する地蔵を」

「俺のせいであの二度とできない仲間たちを不幸にした。俺が見栄をはらなきゃ

たぶんこんなことにならなかっただろう。」

「ああ、もう仕事いかなきゃな、今日は少しおそくなる」

親父はいままでにない悲しい顔というより悲しい無表情だった。

そして行く前に一言だけいった

「お前の母さんが死んだのは俺のせいだ本当にすまない。」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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