短編2
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染み

小学生の頃である。

その時分から私は遅刻魔であって、いつものように遅れて学校へ向かうと、とっくに一時間目の授業が始まっているという時間であるのに、なにやら校門が騒がしい。児童達は一かたまりとなって騒ぎ、教師達は必死に教室に連れ戻そうと苦闘している。

見ると、校門に大きな赤い染みのようなものが付着している。それは人の形をしていて、顔に当たる部分は、明らかに人の表情をしており、苦痛と恐怖にひきゆがんでいた。

この赤い染みが騒動の原因であるらしい。時期に騒ぎは納まり、放課後の教師の説明によるとこの件はただのイタズラであり赤い染みも数日中に消す予定だという。

聞きながら私は、あるろくでもない計画を思いついた。

翌朝、いつもより早めに、つまり普通の児童の普通の登校時間通りに登校すると、またも校門の前に人だかり。

思い通り。

今度は新たに、子供の赤い手形がついたという。思わずニヤついた。

その手形は前日の深夜、家の赤ペンキを持ち出して私がこっそりと付け足したものであった。ささやかながら企みは大成功である。

それから数日後、二つの赤い染みは消された。

そのはずであった。

染みの消された二日後。私が登校すると、校門に人だかり。校門には子供の赤い手形の染みが付いていた。浮き出てきたらしい。私は、何もしていない。

その赤い手形はその後何度も消され、そのたびに浮き出てくるので、やがて放置された。

今では手形は我が小学校七不思議の一つに数えられており、虐められて自殺した子供の怨念であるとか言われているらしい。

怖い話投稿:ホラーテラー 仮MELONさん  

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