携帯での投稿のため失礼します。
連日、残業が続き頭と足の両方が重く、その重さを吐き出すかのように幾度も溜め息が出た。
今日も終電間近の電車に滑り込んで、駅からの帰路を歩くしかない私は重い身体を引き摺りながら帰っていた。
駅から離れるにつれ、同じく降車した乗客達ともぱらぱらと別れ、気が付けば暗い夜道を独りで歩いていた。
独りでいつも通り抜ける街灯の少ない公園をうつ向きながら歩いていたが、ふと公園の奥に目が向いた。
私が見た先は公園の端でその先は山になっており、当然道はないところだ。
道がないから街灯もなく、そこには立体感のない黒い闇が広がるだけである。
しかし、そこにいつもとは違う何かを感じた私は闇に目を凝らした。
自転車が停まっていた。
捨てられたのではなく、まるでその先の闇に用事があるために停めたような気配があった。
しかし、闇は深く虫の声すら聞こえない静粛が続くのみであり、まるで私がその自転車の持ち主であるかのような錯覚になった。
なぜか疲労で痺れている脳が警告を発したことから、闇に引きずり込まれそうな感覚を振り切り、その場を離れ私は帰宅した。
翌朝、その場を通ったときに制服警察官2人が昨夜の闇である自転車の奥を見ていた。
警察官の目線の先には、
首吊り死体がぶら下がっていた。
引き降ろすにも死体の爪先から地面まで2メートルはあり、応援を待っている様子であった。
私は目の前の死体より、今日の仕事が気になったことから、直ぐに立ち去ろうとしたとき、気が付いた。
この自転車は私のだ!!
昨夜は暗くて分からなかったが、先日駅からなくなっていた私の自転車だった。
死んだ男が乗っていたのか、別の意図で置いてあったのかは分からない。
ただ私の痺れた脳は警告を発するのだ
取りに行くな、闇に取り込まれるぞ!!
今夜も終電間近になるだろうが、この道を通るのは止めよう。
今度はあの闇の誘惑に逆らえないだろう…
怖い話投稿:ホラーテラー きたやんさん
作者怖話