短編2
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長者物語 壱

昔、奈良の都に玉津姫という姫がいました。

美しく優しい姫の噂は都中でしらないものはないほどでした。

ところが年頃になったある日突然顔や体に黒いあざができてしまいました。

あざのため結婚する事もできず姫や家族は嘆いていました。

ある日、出会った老翁に

「大和の国三輪の明神に願をかけなさい」

と言われ藁にもすがる思いで祈ることにしました。

すると満願の夜、明神様が枕に現れ

「あなたの夫となる人は豊後の国の炭焼き小五郎」 ですとお告げをくださいました。

思いもよらないことでしたが姫はお告げに従い旅にでました。

長く辛い旅の途中、侍女達は病に倒れ、人にさらわれついには姫は一人きりになってしまいました。

途方にくれて山を越えてゆくと、くずれかかった、わらぶき小屋のまえにたどり着きました。

小屋には顔も手も墨で汚れ、ぼろぼろの着物を着た男が住んでました。

この男こそ小五郎でした。

神様のお告げで嫁に来たという姫の言葉に初めは戸惑った小五郎でしたが疲れきった姫の様子を見て嫁に迎えることにしました。

お腹を空かせた姫のたも、小五郎は姫から預かった砂金を片手に、里へおりていきました。

途中、小五郎はオシドリを見つけました。晩のおかずにしようと考え、砂金の入った袋をなげつけましたが、袋は淵の底に沈んでしまい、オシドリも逃がしてしまいました。

手ぶらで帰ったことに驚き嘆く姫の様子をみて小五郎は「あの光る石なら谷にゴロゴロしている」と姫を連れて谷へ行きました。

谷は砂金であふれかえっていました。

そして、その淵の水で手や足を洗うと不思議な事に姫の痣は消え、小五郎も美男子に生まれ変わりました。

ふたりはこの谷の黄金でみるみるうちに

大金持ちになり、龍宮にお願いして可愛らしい女の子も授かり、幸せに暮らしました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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