短編2
  • 表示切替
  • 使い方

小屋

これは私の友人が私宛てに書いた一通の手紙から始まりました。

その友人とは大学時代からの友人でかれこれ、もう六年もご無沙汰になります。

その一通の手紙から友人の消息は絶ち、今だ、連絡が取れません。

美術科の勉強をしていた私達はお互いに絵に興味があり、友人は大学卒業後に絵の勉強をしに海外の方で暫く移住する事になりました。私は一度だけ友人の所に遊びに行った日があり、その時に街の片隅に色々な絵を売っている小さな店があったため、友人と一緒に暫く店内で鑑賞してました。見に行った事がありますその沢山の絵がある中に一つの絵に友人は目を奪われたそうです。

私から見れば、少し不気味な絵にも見えますが友人がそれを良しとするならば私は断れませんでした。

そんな友人があの絵を購入してから三ヶ月後に私宛てに書いた一通の手紙がその絵に纏わる話です。

その絵は作者不明で題が「小屋」と書いてありました。油絵で描いたような絵なんですが、薄暗い森の中に小さな小屋がぽつんと寂しい雰囲気で建っています。その小屋の前に一本の少し曲がりくねった道があるそんな風景画です。

友人の手紙には

「〇〇さん、お元気でしょうか?突然のお手紙でびっくりしたかも知れませんが、どうしても貴女にお伝えしたくてペンを取りました。

〇〇さん。いつか私と行った。あの〇〇通りにあった絵を売っていた店を覚えていますか?

あそこで買った作者不明の「小屋」という絵です。私も今思えば、何故あの絵を買ったのかはわかりません。しかしあの時の中の私はあの絵に自分が吸い込まれるような魅力だったんです。

しかし今の私があの絵を手放したい心境だとしたら驚きますよね。

実は貴女が日本へ帰った後にあの絵に異変が起こったのです。

〇〇さん、私は決して貴女をからかってるつもりはありません。でも最後まで読んでもらえたら嬉しいです。もう少しお付き合い願います。

私はあの絵を壁にもたれるように立てかけていました。そして何だか分からない感じで、その絵をジーと見ている日もありました。

一週間後でしょうか、またいつものように、あの絵を見ていた時に、少し絵の中の小屋のドアが少し開いてるようにもみえたのです。ほんの1〜2センチ程です。最初は気のせいだろうと思いましたが、そうではありませんでした。

翌日には「やっぱり開いている!」と実感するほどドアは少し隙間がありました。そして、その異変から少しずつ一日に1センチぐらいかわかりませんが確かにドアは日につれ、少しずつですが開いてきます。」私はここまで読んで、あの絵なら有り得る事かもしれないと手紙と共にあの「小屋」の絵を思い出しました。

しかし手紙にはまだ、続きがありました。

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ