中編3
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鈍すぎると言う事。

先日の出来事。

友人のA子と居酒屋で呑んでいると知人男性に声をかけられた。

この知人は典型的なDQN君で、『悪い』事が格好良いと思っている残念な人。

自分勝手なピーターパンで評判も良くなく、過去に数々の交際相手を孕ませ中絶させている。

正直嫌いな相手ではあったが無下には出来ず、社交辞令として相手をしてあげた。

知人が一方的に話しかけてくる中、ふとA子の顔を見ると今にも吐きそうな位真っ青な顔をしていた。

慌てて「大丈夫?!」と声をかけると「ごめん、体調あんま良くないのに飲みすぎちゃったみたい。」との事。

ちょっと前まで「今日も散らかしちゃうぞwww」とか言ってたので、A子が空気を読んで気を利かせてくれたのだと思った私は「マジ??無理させちゃってごめんねー。じゃあ家まで送ってくよ。あ、○○クンそう言う訳だからごめん、また今度ねー」と、お会計を済ませ一方的に立ち去った。

あわよくば一緒に呑もうと思っていたらしい知人は鳩が豆鉄砲食らった様な顔をしていた訳だがwww

店を出て「さぁ次は何処で飲みなおそうか。」とA子に話しかけた所でA子が本当に道端で吐き出してしまった。

A子の体調不良がガチだった事に狼狽するしかない私を余所に、A子は一通り吐き終わるとすっきりした顔で言った。

「よし、次行くぞ。」

「ちょwwおまwww」

「って言うか、此処から早く離れるよ。」

そう言ってA子はさっきまでゲーゲーしてた人間とは思えない速さで道を進んで行くので、私も慌てて追いかける形となった。

「A子!体調悪いんじゃないの?!」

「此処に居たら悪いまま。早くあの男の居ない場所に行く。」

「あの男って○○さん?!あんた知り合い??」

「んな訳ない。あんなのが近くに居たら身が持たないよ。」

その後、別の居酒屋で呑みなおしている最中にA子から事の真相を聞いた。

A子の家系は霊感筋で、A子も幼い時から『その類い』が視える事。

そして先程の居酒屋で、知人の後ろに『その類い』が視えた事。

「皆気付かないだけで幽霊なんて大体そこら辺に居る。普通は人の姿を保っている。それに生前の記憶が関係してるのかは分からない。ただ『アレ』はもう人間じゃない。赤ん坊も居た。女も男も老人も。色んなものが混じりあって、あんなの、もう幽霊なんて呼べない。あの人相当ろくでもない事して来たんだろうね。」

A子は心底嫌な顔をして芋焼酎を流し込んだ。

A子に霊感があるなんて初耳だし、いまいち霊的なものを信じきれない私はA子にこう反論した。

「でもさ、そんなヤバイのが憑いてんだったら生活に支障ないの?肩が重いとか寒気がするとか。あの人ピンピンしてるよ。」

するとA子は静かにグラスを置き、今まで見た事のない程の無表情で呟く様に言った。

「そう、普通は気付く。そもそも『アレ』は普通の人間に耐えられるレベルじゃない。あの人はよっぽど鈍いんだろうね。多分、人でなしだから。

だから、気付いた時にはもうどうしようもないね。」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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