短編2
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受け継いだもの

初めて投稿します。

私の家では男性器のミイラが受け継がれています。

洋服箪笥の奥から出てきた時は驚きました。

臍の緒かと思いましたが、それにしては大き過ぎる。色形といい、木の枝にも見えました。父から男性器であることを聞いた時は頭が真っ白になりました。

なんで?どうして?我が家の箪笥の奥に男性器が…

父はこの男性器を祖父から渡されたそうです。

祖父は私の幼い頃に亡くなりました。祖母は父が生まれてすぐに蒸発してしまったようです。ここまでは私も知っていました。

よく、父から母親がいないことの不幸を聞かされていたものです。

娘の私が、嫁いでからも離婚だけはするなよと口を酸っぱくして言います。

実はこの男性器、祖母が大切そうに持っていた小さな木箱の中から見つかったそうです。

祖母が蒸発した日、祖父が置き手紙はないかと探していた時に出てきたと言います。

ある日の夕食時、私は頭の中にあった仮説を父に思い切ってぶつけてみました。

「お父さん、もしかしておばあちゃんて阿部定だったりしてね」

父は、冗談めかして茶目っ気たっぷりに言った私の顔を見ると

「たとえ、阿部定でも俺のオカンだろぉ…」

おんおんと泣く父の姿を見て、私も涙がでてきました。

阿部定は出所後、ある男性と結婚しました。

それを嗅ぎ付けたマスコミによって、その男性は妻が阿部定であることを知るのです。

その男性から離れた阿部定は千葉の旅館で住み込みで働きますが、やがて蒸発しいまだにその消息は不明だそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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