強ちありえないオーランチキチキの話

中編3
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強ちありえないオーランチキチキの話

オーランチオキトリウムをご存知だろうか。

最近、某言って委員会にてk谷誠彦氏が紹介して以来有名になった、石油製品を作ることが可能な炭化水素を作り出す藻のことである。

氏によると、最近沖縄で炭化水素の生産能力が飛躍的に向上した種のオーランチオキトリウムが発見され、これを実用化し、日本にある耕作放棄地をプラントにすることで日本のエネルギー問題はすべて解消され、あまつさえ産油国にもなれるというまさに夢のような藻だという話である。

もちろんこれは夢であり、実際にそれを行おうとすると、そもそも太陽光ではエネルギー源が足りない。休耕田から炭化水素を精製して発電所まで運搬するコストを考えるとどう考えてもつりあわない。

っていうか、炭化水素を耕作放棄地で作り出すということは、それはつまり耕作放棄地に原油をぶちまけるに等しい行為であり、その土地ならびにその周辺は半永久的に耕作はおろか人も住めない土地になるという話で、実現するのは実際にはまあ不可能な話ではある。

だが、それはそれでいいのだ。

氏の語ったのは生物化学による夢の話であり、それはかつて科学の発達による近未来を描き、多くの子供たちに夢と希望を与え、現代の科学立国の礎を築いたともいえる昔のSF漫画と通じるものである。

今現在の科学知識で鉄腕アトムの科学的矛盾点を論じるのが無意味であるのと同様に、オーランチオキトリウムの話をもってK谷誠彦氏を非難するのはナンセンスというものだ。

もしも問題があるとすれば、氏の話を無条件に信じ込み、オーランチオキトリウムに財産や時間をつぎ込んで、真実を知った後になにか逆恨みの気持ちをいだいたりする場合があったときであろう。

ところで、ここに実際にそれを行動に移してしまった者がいる。

総理大臣を務めたこともある、H山由紀夫先生、その人である。

先生はそのご活躍にもかかわらず、支持団体であるBリジストン社からの献金が最近減って来ていることに焦りを感じていた。

また、理想の友愛政治を実行させない現政権と日本国民に対し、深い失望感をもたれていた。

そんなときにオーランチオキトリウムの話を聞き、ここに先生の資金をつぎ込んでk谷誠彦氏の計画を実行され、プラント利権とそれが生み出すであろう膨大な資産をバックに、今度こそ日本を某国に併合していただいて理想の友愛政治を行おうという壮大な計画を実現しようと行動を起こされたのである。

普通であればここで研究資金の提供という名の下にオーランチオキトリウムの研究機関の買収でも図るところだが、そこは宇宙人とも噂される先生である。常人の予想の斜め上はるか上空を行った。

先生は、日本中の耕作放棄地や、なぜか山林を片っ端から買い集めだしたのである。

さすがにこれはマズいと思ったらしい側近からの忠告により、現在は新規の耕作放棄地の購入は控えているらしいが、しかし手元には使い物にならない土地のみが残った。

この話が表ざたになることを恐れた先生は、内々にての解決を図られているということである。

さて、一方で先生は最近ロシアや韓国、中国へと積極的にご訪問されている。

なお、現在日本の国土が海外資本に、秘密裏に次々に買われているという話である。

怖い話投稿:ホラーテラー 剛毛素人さん  

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